コロナ禍の今こそVR! 閉幕迫る「世界最大のバーチャルイベント」で、この夏一番の思い出を

コロナ禍で人と実際に会うことが減ったという声をよく聞きますが、VR(バーチャルリアリティ=仮想現実)を使ったSNSならば、家でどんなカッコウをしていようとも世界中の人と24時間いつでも会うことができるのです。前回は100万人以上の来場者があったという世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット6」が開催中で、ヤマハ発動機やJR東日本、NTTドコモなどが出展しているとのことですが、どんなものなのでしょう?

■世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット6」

バーチャルマーケット6とは、VR空間内で自身が選択したアバターでログインして、ユーザー同士でボイスチャットやゲーム、鑑賞、ショッピングなどを楽しむイベントのことです。使用するのはVR空間で不特定多数の人たちと自由にコミュニケーションできる「VRChat」というVRプラットフォーム。「VRChat」にはたくさんのワールドと呼ばれているVR空間が用意されていて、そのひとつがバーチャルマーケット6なのです。

バーチャルマーケット6には、WorldFesti-VR「Core」、JapanFesti-VR「En-Nichi」、太陽の市場「カラヨル」、パールの港湾都市「ラグーナ」、常夜の歓楽街「九蛇之市」の、6つのバーチャル空間であるワールドが用意されています。

バーチャルマーケット6の利用は無料で、ユーザーは日本だけでなくアメリカ、中国、韓国、EUと世界各国からアクセスしています。開催日時は8月14日10時~8月28日23時まで。

参加するにはヘッドマウントディスプレイを使用する「VRモード」の他にも、PCのみで使用する「デスクトップモード」があり、一部のスマホやタブレットからでもアクセスできるブースもあるそうです。ヘッドマウントディスプレイには8歳以上という年齢制限がありますがPCからのアクセスは可能。

バーチャルマーケット6にはメイン会場とサブ会場があり、メインは「世界の祭り」でサブは「日本の祭り」がテーマで、コロナでバラバラになった世界をひとつにするというコンセプトで設計されています。マーケットと言っている通りVR空間内で買い物ができます。

買い物には「リアルショッピング」と「3Dモデルのショッピング」の2つがあり、「リアルショッピング」には、2回目の出展となった大丸松坂屋百貨店が、百貨店業界初の「飛び出すバーチャルカタログ」として、お中元や夏グルメの販売をVRで行っていました。BEAMSも2回目の出展となり、今回はリアルで実施中の人気イベント「銭湯のススメ。」をVR店内に再現したり、Tシャツを売っていたりしていて、ECサイトに遷移して購入できます。

もうひとつの「3Dモデルのショッピング」は、VR空間でのみ使えるアバターを購入するというものです。アバターを着飾る洋服やアクセサリー、今回ならばモルカーのアバターなどもあります。バーチャルマーケット6終了後でも他の「VRChat」などのVRコンテンツでずっと使えます。

主な出展者企業としては、NTTドコモ、JR東日本、大正製薬、ロジクール、ブシロード、LDHなど業種は多岐に渡り、アーティストや一般ユーザーも数多く出展しています。

■ヤマハ発動機は業界初となるバイクのVRシェアライドサービスを提供

ヤマハは業界初のVRシェアライドサービスとして、フラッグシップモデルである「YZF-R1」と、東京モーターショーでコンセプトモデルとして出展されて世間を賑わした、自立するバイク「MOTOROiD(モトロイド)」の2台を提供し、乗ることができました。ヘッドマウントディスプレイでの運転だとVR酔いがあったものの、VR空間での運転は初体験でした。

■前回1月のイベントの来場者は100万人超…増え続けるユーザー数

バーチャルマーケットは2018年の夏に初開催したときは来場者1500人程のイベントだったのが、2020年4月に開催した第4回目で70万人を超え、2021年1月の第5回目では来場者が100万人を超えるなど、回を重ねるごとに来場者数を増やしています。前回から出展者数が激増したこともあり、今回は出展ブース数を限定、抽選方式にしたそう。

このバーチャルマーケット6を開催しているのは株式会社HIKKYという会社。社内のVRヘビーユーザーが10年ほど前からVRをいち早く手掛けてきて、VRChatで知り合った人が社員になるなどVRをどっぷり使った人たちの集団。

さまざまな可能性があるバーチャルマーケットの特徴についてHIKKYの営業・PR担当の大河原あゆみさんに伺ってみました。

--バーチャルマーケットの魅力とは?

マーケットというくらいですから、メインはお買い物です。リアル商品と、3Dモデル商品の売買が行われています。それ以外にも、VR空間で知り合った人と一緒に映画鑑賞をしたり、ゲームをしたり、今回のヤマハ発動機様のように乗り物の試乗体験などもできます。例えば、試乗体験について、年齢や免許の有無に関わらず誰でも遊ぶことができるというのもVRならでは。アーティストがバーチャルマーケットで新曲を発表するという新しい形も生まれています。

--ヘッドマウントディスプレイとPCでの参加の違いは?

ヘッドマウントディスプレイは3Dですので没入感が全然違いますし、コントローラーを両手で持っているので、手を上げればアバターも手を上げ、足にトラッカーを付ければ足や腰の動きも反映されます。そうすれば、アバターでダンスを踊ることなどもできます。でも、単純に世界観を楽しむだけならデスクトップモードでも十分です。

--バーチャルマーケットとECサイトとの違いは?

ECサイトの場合は買うものがすでに決まっていることが多いのに対して、バーチャルマーケットはよりリアルなウィンドウショッピングと似ています。街をぶらぶらしていて買うつもりがなかったけど、ステキなものを見つけたから買ったという“出会い”を提供しています。

--VR空間内でのみ使える3Dモデルの家具や食品を買う意味は?

3Dモデルの家具に関しては、VR空間で遊んでいるユーザーは、VR空間の中に自分たちの部屋や宴会場を持っていることがあります。その中で、自分の部屋を新しい家具の3Dモデルでカスタマイズし、空間をより豊かにすることに使用されます。VR空間で餃子やビールなどの食品3Dモデルが販売されるのは、バーチャル飲み会などに使用するためです。何もない空間で一緒にご飯を食べるよりも、食品3Dモデルが目の前にあって、一緒に乾杯することで盛り上がる要素の一つを担っています。

--VR空間で知り合うメリットは?

VR空間の「VRChat」では、人とのコミュニケーションが最大の目的です。SNSと同じように世界中の人たちとつながることができ、アバター同士が身体的な動きをまじえたボイスチャットでコミュニケーションができることで、感情や表情も相手に伝わりやすいという特徴もあります。

また、現実でどんな格好をしていても、ノーメイクであっても、VR空間では一瞬で完璧な姿になれるので、常に自分自身の快適な姿でいられることも特徴です。他にも、距離が近ければ声が大きく聞こえ、遠くなると全く聞こえなくなるという特性も注目されている点です。実は研究発表や商談、展示会などでもVR空間は注目されています。

--バーチャルマーケットのユーザー層は?

ユーザーは20代、30代の男性がメインですが、そんな男性の8、9割は女性のアバターで生活しています。等身の低い女性アバターだと親切にされやすく、可愛がられやすいというのは世界的に多い傾向があります。

バーチャルマーケットは今までは夏と年末の年2回開催されていましたが、今後は常設型で365日運営されるバーチャルショッピングモール「VketMall」もオープン予定とのこと。コロナ禍で実際に人とは会えない状況では、バーチャルマーケットやVketMallで買い物をしたり、VR SNSで仲間を見つけたりと、VRはこれからますます盛り上がるかもしれませんね。

(まいどなニュース特約・鈴木 博之)

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