高速道路の渋滞なぜ起こる?…知っておきたい「サグ部渋滞」のメカニズム

ゴールデンウィーク(GW)につきものだった高速道路の渋滞だが、コロナの影響で交通状況は様変わりしている。緊急事態宣言が発令されていた昨年のGWでは、主要高速の交通量が前年比7割減っていたというデータもあった。不要不急の移動の自粛が呼びかけられている今年も、高速道路各社は渋滞予測情報を出していない状態だ。しかし、例年私たちを苦しめてきたあの渋滞は、そもそもどのように起こっていたのだろうか。

■渋滞のメカニズムとは

年間経済損失額12兆円とも言われる渋滞だが、渋滞とはボトルネック(詰まりやすい部分)に一定以上の車が押し寄せたときに起こる。渋滞はざっくり分けるといわゆる普通に慢性的に起きる自然渋滞と工事・交通事故・天候の急変等で起こる突発渋滞に分けられ、前者が全体の70%を占めると言われている。

ボトルネックとは、交差点、踏切、トンネル、車線が減少する場所などがそれにあたり、交差点の立体化や車線の増加、信号調整などで改善を繰り返しているが、なかなか遅々として進まないのが現実だ。

高速道路の渋滞は、交通事故等の突発渋滞と高速道路の出口を先頭に発生するボトルネック型渋滞は良く知られていることだが、もうひとつサグ部渋滞というのがある。

サグ部とは、下り坂の先に上り坂があるV字型の地形の底の部分を指す。なぜサグ部が渋滞発生要因になるかというと、車は急な下り坂に突入すると自然とアクセルを緩め減速する傾向にある。減速したままサグ部(V字の底)に辿り着き、再び上り坂に突入するのだが、減速したままの状態で上り坂に突入するのでさらにスピードが落ちるという寸法だ。高速道路は意外とこの渋滞が多い。

加えて、GWやお盆に渋滞が発生する要因は、慣れないサンデードライバー(たまにしか運転しないドライバー)が休暇に急増、サグ部渋滞や交通事故が増加し事故渋滞も多発する。

■何キロ以下なら渋滞なの?回避するにはどうすれば?

ちなみに、何キロ以下なら「渋滞」と呼ぶかという定義は、実は明確に存在せず、都道府県警によって多少の差がある。警視庁の場合は、一般道が10キロ以下、高速道路は40キロ以下を渋滞と定義している。したがって、一口に渋滞と言っても、40キロで走行中の渋滞と事故で全く動かない渋滞とは全く違う。高速道路での渋滞を回避しようと高速を降りる方も多いが、40キロでのノロノロ渋滞なら下道より高速道路を走行し続けた方が早いケースも多いので、その見極めが目的地への到着を早める鍵となる。

また、渋滞を回避する方法として、高速道路のHPに掲載されている例年の渋滞時間予測をチェックし、混んでる時間を避けて通行するというのはかなり効果的だ。

ナビを使った渋滞回避行動(混んでるエリアを避ける)もひとつだが、生活道路への侵入は避け上手に活用するのがよい。特に混雑するシーズンは意外と遠回りした方が早く目的地に到着するケースも多い。そして、何より時間に余裕をもって、計画的にカーライフを楽しんで貰いたい。

◆村山 祥栄(むらやま・しょうえい)前京都市会議員、大正大学客員教授。1978年京都市生まれ。専修大学在学中は松沢成文氏の秘書を務める。リクルートを経て京都市議に。2010年、京都党を発足。2020年2月の京都市長選で出馬も惜敗。現在は大正大学客員教授。

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