樹齢150年!実のなる日本最古のオリーブの樹が、神戸に…オリーブオイル初搾り目指す

オリーブといえば小豆島が有名だが、実は日本最古のオリーブの樹が神戸にあるのをご存知だろうか。しかも植わっているのが神戸の人気初詣スポット、湊川神社の境内だという。1878(明治11)年にヨーロッパから来たと伝わるが、なぜ畑ではなく神社の境内なのか?しかも、来年秋にオリーブの実を収穫しオリーブオイルの初搾りを予定しているという。それより実がつくのか?気になって聞いてみた。 

■どこにある?日本最古のオリーブの樹

「楠公(なんこう)さん」と呼ばれ地元に親しまれる湊川神社は、楠木正成公を祀る由緒ある神社だ。見渡す限りクスノキが植わっている境内だが、表門を入ってすぐ左に1本のオリーブの樹がある。高さは13メートルと見上げる高さだ。オリーブの樹といえば低木のイメージだが、それは実を収穫するために剪定しているそうで、この樹は自然な姿でのびのびと天に向って伸びている。

毎日境内を清掃するためか害虫もほとんどつかなかったが、平成16年の台風で、南北に大きく伸びていた枝のうち片方が折れ、重心のバランスが悪くなり、倒木の恐れも指摘されるようになった。神社は樹全体を支柱で支え、寄せ接ぎという特殊な技術で長期間かけて樹形を整える措置を行っている。

広報室室長の鈴木智子さんは、

「樹齢150年近くになる、日本最古のオリーブの樹です。これからも100年、さらに1000年成長し続けられるよう守り育てています」。

オリーブの樹の寿命は長く、海外には樹齢1000年以上といわれるものもある。樹齢150年は、まだまだ若いというわけだ。

 ■活気あふれる神戸をみてきたオリーブの樹

この日本最古のオリーブの樹は、明治11年に開催されたパリ万博で事務官長を務めた官僚、前田正名(まさな)が、当時初代宮司だった折田年秀にみやげとして贈ったものという説が有力だ。

前田と折田はともに薩摩藩出身で親交があり、植物栽培を愛好していた折田への、気の利いたプレゼントだったわけだ。実際、境内にあった折田の宮司職舎の庭にはソテツやユーカリの木など、多くの西洋植物が植えられていた。

東京の、内務省三田育種場(いくしゅじょう)の場長でもあった前田は、折田へのみやげ以外に大量に持ち帰ったオリーブの樹を、三田育種場神戸支園(現在の北野ホテル付近)に植え付けた。収穫物は製品にして輸出する。外貨を得るための国策事業だったが、4年後の明治15年には十分なオリーブオイルを搾れるほど収穫をあげた。民間の手に渡った後に閉園し、そこに植わっていたオリーブの樹も今は残っていない。

当時のオリーブの樹はこの湊川神社のものと、もう1カ所、同じく前田から譲り受けたという樹が兵庫県加古川市にある宝蔵寺で育っているそうだ。

■来年こそ!オリーブオイル初搾りに挑戦

実は湊川神社は、今年初めて受粉作業を行い、実ったオリーブを使ってオリーブオイルの初搾りを予定していたそうだ。9月頃に収穫を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で春の受粉作業ができず、来年におあずけとなった。

「明治時代に植えられたオリーブの樹が、令和の時代に生み出すオリーブオイルとなります。たくさん搾れた暁には、ぜひ皆さんに味わって欲しいですね」と鈴木さんは話す。

(まいどなニュース特約・國松 珠実)

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