「時空が歪んでいる」と話題…消費税3%→6%の貼り紙…謎の料金改定の真実とは

消費税改定で3%→6%って?一見すると不可解な貼り紙だが…
消費税改定のお知らせ。よく見ると10%のうち店側が4%を負担するとの説明がある
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 “ディープ”な街大阪・西成区にある理髪店「理容トップ2(2の表記はローマ字数字)西成本店」の値上げ告知がSNSで「時空が歪んでいる」などと話題になっている。消費税改定のお知らせとして「2019年10月より3%→6%へ」というもの。なぜ、8%から10%ではないのか。まさかの書き間違い?10月1日の新消費税導入を前に潜入調査してみると、店側の思いが込められていた。

 その店があるのは大阪市西成区太子2丁目。飛田本通商店街に面している。大阪メトロ「動物園前駅」から徒歩5分、JR「新今宮駅」からだと6分ほどのところだ。道すがら「生活保護」「福祉相談」と書かれた案内がちらほら見えた。

 今池本通商店会の居酒屋カラオケ店が並んだ一角を通り、左折。外観は黄色の大きな料金表が目立つぐらい。店内は縦長で10席ほどイスが整然と並んでおり、ごく普通の理髪店だった。

 SNSで注目されるようになったのは、今月初旬に入り口のドアに貼った料金改定の告知内容。10月1日からの消費税増税に伴うものだったが、これがユニークというか意味不明だった。

 「2019年10月より3%→6%へ改定 何とぞご理解のほどよろしくお願い申し上げます」という内容。確かに、何のことか分かりづらい。本来は8%から10%のはず。「ご理解のほど」と言われても理解しづらい。SNSもこれに反応し、食いついた。

「西成の時空が歪んでいる可能性」

「西成は、異国ですからねぇ」

「独立国家の可能性も」

 店側は揶揄するような声を受け、入口に貼っていた告知を店内だけにした。理容師さんたちは「あんな書かれ方してなんか、バカにされているようで話したくないし、取材も受けたくないほど。しっかり説明していないこちらも悪いんでしょうが、ネットの書き込みを消したいほどです」と反論。というのも、この数字には店側のしっかりとした意図があったからだ。

 「このあたりは福祉の街なので10円上がっただけで、お客さんには大変なこと。しばらくは減ってしまいます。なので消費税が8%になったとき、店側で5%負担するようにしました。今度は10%上がるうちの4%。5%から4%なので申し訳ない気持ちです」

 そういえば、SNSの声の中に、こんなのがあった。

「この意気があるから大阪は強い」

 そう、実際は店側の心意気というか思いやりが反映された改定告知だったのだ。消費税アップに伴い、どこもかしこも堂々と値上げする中、考え抜いた末の決断だったというわけだ。

 もちろん、腕も達者。この道50年のベテラン理容師さんに素早く、きれいにカットしてもらい、顔そり、シャンプーで締めて1750円なり。5%分負担してもらい、得した気分だった。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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