会社へはAシートで行こう 在来線の『500円で指定席』に乗ってみた

 私が小学生の頃、学校のそばを電車が走っていたので、夢はブルートレインの運転手か、グリーン車に乗って通勤するサラリーマンだった。

 約40年前、関西の山陽本線から鈍行のグリーン車が消える直前にグリーン料金を払わず乗れる期間が少しだけあり、名残を惜しんで座った思い出がある。

 今年3月のJRダイヤ改正で500円払えば指定席の感覚が得られるAシートを連結した列車が1日2往復運行開始された。

 私が多く利用している列車がAシート付きになるというので、渡りに船と思い乗って通勤することにした。改正初日は休日ダイヤだったので姫路発。始発から満席で混雑がすごかった。平日は網干発で「最初の日でも長蛇の列ができることはなかったけど、姫路からは満席でした」と網干駅の駅員は言う。

 私が最初に乗った3月25日。発車5分前に同駅に着いた。まだ入線していなく、電光掲示板には、新快速の乗車位置は「1~8、10~12」と表示され9号車が有料だと分かる。

 発車時刻の3分前に列車が入ってきた。改正前と違うのは9号車に青いラインが入りAシートの文字が躍る。その車両中央付近に案内をする職員が立っている。

 ボタンを押しドアが開くと新車の匂いが鼻奥をくすぐり期待が高まる。私は列の4番目だったので一番乗りたかった1番Aの座席には座れず、2番Aへ入った。

 車両は223系1000番台(クハ222-1007と1008)で、ドアが前後方2カ所だけに改造されている。座席は一新されリクライニングとなり、新幹線並みに倒れる。通常の新快速のシートとは違い、ペダルを踏んで回転させると4人で楽しめるようになっている。

 窓側と通路側の肘置きの下にあるコンセントは100ボルト、2アンペアで携帯やパソコンのモバイル用。Wi-Fiも利用できるので、早速登録して接続した。目の前に設置されたテーブルは新幹線と同じタイプで使い勝手がよく、私が好きな駅弁を食べながら旅を楽しむこともできる。

 列車が発車した。男女2人の車掌が前方、後方半分ずつを担当し乗車整理券を発行していく。「どちらまで行かれますか?」「神戸まで」「500円になります。この整理券を前のポケットに差して、下りる時に抜き取ってください」

 網干で10人程度だった乗客は姫路で8割方埋まり、西明石で全46席が満席となった。残念ながら座れなかった乗客は前後のスペースで立って、席が空いたら順次着席していくように空き待ちをしている。

 通路に人が立たないので降車時などのストレスがなく、付いているトイレの使用状況のランプも一目瞭然。

 車窓の景色はいつもと変わらないが、携帯カメラを向ける人が多く、注目は高いようだった。

 平日3日間連続で乗った。乗り越しをしたい時は車掌に言うと新たに整理券を作り直してくれる。青春18きっぷとの併用も、ICOCAでの精算もOK。偶然かもしれないが、対応の男女2人の車掌は大阪側の前方がいつも女性で、残念ながら私はずっと男性だった。

 西明石ではいつも一杯になり、3日目は加古川で満席。座席前の案内には東が野洲・京都方面、西が姫路・網干方面となっていて、それ以上の区間拡大はないようにも思える。

 子供の頃の夢が半分かなった。帰りも混雑から解放されたいので、朝夕を中心にAシート車両の製作、増発をお願いしたい。これからも出社時はAシートで行こう。(デイリースポーツ・柴田直記)

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