「2001年宇宙の旅」の「HAL」がイカスミパスタに?SNSで話題の衝撃メニュー

 東京・神田にある老舗出版社、早川書房。ミステリー・SFに強い同社本社ビルの地下1階にあるレストラン「ラ・リヴィエール」では17時~22時の夜の部限定で『BOOKレストラン』メニューを提供中です。同社刊行の書籍にちなんだフード&ドリンクがいただけるといい、SNSでも話題を集めています。『HAL』、『オードブル1984』など本好きにはピン!とくるメニューが勢ぞろい。あなたのお気に入りの物語や登場人物も、素敵な一皿になっているかもしれません。今宵いざ、ボナペティ!

 2019年2月25日から始まった新メニュー。書籍にちなんだメニューはフード24品、ドリンク23品。気になるメニューを一部紹介すると…

▼『オデッセイ・ポテト』/火星の人(1000円)

 これはあれですね! 映画でマット・デイモンが火星で孤独にイモを育てていた作品ですね! でもここは火星ではありません。“地球なのでこんなに美味しい料理になります”とのことです。

▼『虐殺器官ピザ』/虐殺器官(1000円)

 “虐殺的に辛いですが、お好みでタバスコもかけてより激辛に出来ます”…「一体どれだけ辛いの?!」と恐れと期待が膨らみます…。

 さらに、さらに…

▼『東西スパイ合戦』/寒い国から帰ってきたスパイ(2000円)

 “旧・東西ドイツのスパイ合戦を描いたジョン・ル・カレの作品にちなんで、イギリスとドイツの定番料理対決。フィッシュ&チップスとソーセージの盛り合わせ”…冷戦ですね!プロージット!

▼『バスカヴィル家の沼地』/バスカヴィル家の犬(1800円)

 “作中に出てくる沼地をイメージした牛ホホ肉の赤ワイン煮込み” 沼地をイメージしたホホ肉…?ホームズ沼はかくも深い…ということ?うーん。マニアックすぎてわからないかも…。

 そして極めつけは…

▼『凶器のラム・チャップ』/あなたに似た人(1800円)

 “凶器となったある“食材”を、あなたはどこまで証拠隠滅出来ますか?完全犯罪を目指して、完食に挑戦!”ラム・チャップを完食することで、完全犯罪が成立…?

▼『HAL』/2001年宇宙の旅(1400円)

 “作中で反乱を起こす人工知能搭載のコンピューターHAL9000。暗黒に浮かび上がるHALの「カメラアイ」をイカ墨パスタとトマトソースで再現しました”…このインパクトは…。

 そんな書籍への偏愛ぶりがあふれるメニューに、ネットでは、本好きさんたちから「HAL9000だと食べ方が悪いと宇宙に放り出されそう」「ここでオフ会やろう」「関西にも出店して」などと、熱いコメントが続々と寄せられています。メニューの企画段階から携わった早川書房秘書室の千田宏之さんにお話を聞きました。

 -どうしてこのようなメニューを企画されたのですか。

 「5、6年前から、本社ビル1階で当社の経営する喫茶店『クリスティ』にて『パブ・シャーロック・ホームズ』などを期間限定で開催していました。BBCの人気ドラマ『SHERLOCK』に登場する英国俳優ベネディクト・カンバーバッチをイメージしたエッグベネディクトなどが好評だったんです。そこで、いずれ同ビル地下1階の『ラ・リヴィエール』で、レギュラーメニューとして様々な作品にちなんだ料理を出せないものかと。具体的に考案を始めたのは昨年の後半です」

 -しかし、一見分からないようなメニューも多いですね。「2001年宇宙の旅」をモチーフにした「HAL」はとりわけインパクトのある一皿ですが、知らない人が見ると「これは何…?!」という人が多そうです…

 「いえいえ!これが当レストランで一番の人気メニューです。HALといえば、非常ベルの赤いランプのようなカメラアイ、読者は一目で分かってくださいます。当初、ホールトマト丸々一個を使って制作しましたが、それでは食べにくいよ、と(笑)。最終的には濃厚なトマトソースで真っ赤な部分を表現しています」

 -おいしさにもこだわって、表現しているのですね。

 「“イメージは再現しつつフレンチらしく、かつ美味しい料理を”と、レストランのベテランシェフ、島野篤が試作を繰り返してメニューをつくりました。彼は銀座のフレンチの名店『コックドール』などで修業を積んできた、この道26年のベテランです」

 -メニューひとつひとつに並々ならぬこだわりを感じます。『虐殺器官ピザ』『バスカヴィル家の沼地』など…

 「メニューの説明文は編集部一同の労作で、読みごたえがあると好評です。でも、中には編集部以上の深読みなさるお客様もいますよ」

 -というと?

 「たとえば、ジョージ・オーウェルの近未来のディストピア小説『一九八四年』をモチーフにした『オードブル1984』のメニューです。小説の主人公の仕事は歴史記録の改ざんなのですが、メニューの内容が『3種類のオードブルとチーズの盛り合わせ。その日ごとに内容が変わります』となっているため、『小説にあわせて、メニューも日々書き換える設定にしたのか…』と推察される方がいました。こちらは単に、日替わりでその時々の美味しいものを出すつもりだったんですけど。でも嬉しい誤解ですね」

 -物語の世界に入り込んだように感じてくださっているということですものね。

 「ええ、ぜひ深読みを楽しんでくれたらと思います」

 -最後に今後の展望を教えてください。

 「前述の『クリスティ』で以前好評だった、エルキュール・ポアロの代表作の一つ『オリエント急行』をモチーフにしたディナーを復活させる予定です。前菜は雪の中で立ち往生する急行列車を表現。メーンの肉料理はもちろん殺人現場をイメージし、牛肉に赤ワインソース、そしてポテトフライでナイフを形どりました。デザートに出てくるポアロご自慢の“灰色の脳細胞”を想起させるゴマのムースまで、ぜひ味わってください」(神戸新聞特約記者・山本 明)

※本文内の表記はすべて税抜価格

◆「BOOKレストラン」(ラ・リヴィエール)月~金曜日、17~22時(L.O.21時)/東京都千代田区神田多町2-2第三ハヤカワビル/TEL03(3258)1800

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