なぜ節分に「豆まき」をするのか 場所によっては「鬼は内」の掛け声!?

節分といえば豆まき(sk.sakamoto/stock.adobe.com)
稲荷鬼王神社での豆まきの掛け声は「鬼は内。福は外」
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 「節分」といえば一般的に2月3日を指すが、そもそもは読んで字のごとし“季節を分ける”こと。つまり季節の変わり目で、それぞれ「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日が節分だ。なかでも立春は旧暦で1年の始まりにあたる。そこで立春時の節分が重要視され、今では「豆まき」などの行事が厳寒の風物詩として親しまれている。ではなぜ節分には豆をまくのだろうか?

 この豆まき神事、背景にあるのが「穀霊信仰」だという。昔の人は豆に霊力があると信じており、災厄や冷気を鬼に見立て「豆の力」で追い払おうとした-というのだ。

 豆をまくときの掛け声は「鬼は外。福は内」が定番だが、そうでないところもあるのが面白い。実際に福島県二本松藩では「鬼外(おにそと)」と「は」を抜いた掛け声だったという。これは藩主の丹羽氏を気遣ったもの。「鬼は外」というと「お丹羽外(おにわそと)」と藩主を追い出してしまうかの様に聞こえるところから恒例化したとされる。

 一方、東京・新宿の稲荷鬼王神社では「鬼は内。福は外」と正反対の掛け声。理由は、この神社が鬼王権現を祀っているからで「祭神が鬼だから、追い出す訳にはいかない」(同神社の社務所)とのこと。同神社によると「古来、鬼は神であり、力の象徴であり、鬼は悪魔を祓う」とされていたという。

 つまりここは、鬼の王様が厄を除いて福を授けてくれるありがたい神社。余談だが、境内にある水鉢の異様さは必見物。新宿区指定有形文化財の彫刻で、その形は見る者を圧倒する。ちなみに愛媛・今治市菊間にある「遍照院(へんじょういん)」も鬼が祀られており、ここでの掛け声は「福は内。鬼も内」だという。

 実は節分の「豆まき」には地域によって数多くのしきたりがあり、関西(特に京都)では今でも恒例行事として続けている家もあると聞く。大まかには次のような流れだ。

・家の軒にヒイラギとイワシの頭を吊るす

・主人が仏前に灯りを点し、かまどを清めて鬼打ち豆を煎る

・煎った豆をマスに入れてから三方へ乗せる

・その年の年男が恵方に向かって豆を打ち、その後は家中の部屋全てに豆をまく

・自分の年齢より1粒多く豆を食べて健康を願う

 また、節分の日にサトイモ、大根、ゴボウ、焼き豆腐、黒豆、高野豆腐、レンコンの煮物、数の子を肴に、飲み交わすのが習慣の所もある。諸説ある中、この習慣が「おせち料理」の原点という説もある。一口に「豆まき」と言うが、日本の行事は実に奥深い。(デイリースポーツ特約記者・二階堂ケン)

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