強引な客引きアカン!大阪のキタとミナミで取り締まり強化拡大の理由

強引な客引きはアカン!(hikdaigaku86/stock.adobe.com)
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 大阪市が“迷惑行為一掃”に向け、クリーン作戦に打って出た。同市は2日、繁華街のキタ(北区)とミナミ(中央区)における客引き行為の罰則付き禁止区域を拡大。2025年開催の「大阪・関西万博」へ向け、洗練された国際都市をアピールするのが狙いだ。新たに指定されたのは、北区茶屋町や中央区難波千日前など。果たして“大阪名物”の悪質な客引きを根絶することはできるのか。

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 インバウンド客に人気の大阪市が本気になった。1月31日、道頓堀の「リンデンビル」に吉村洋文市長をはじめ、関西経済同友会の黒田章裕代表幹事、大阪府警、地元商店街やボランティアら130人が集まり、「第14回ミナミ活性化協議会」を開催。悪質な客引きなどの迷惑行為について対策を協議し、大阪府警からは取り締まりを強化する方針が示された。

 大阪市は14年に「客引き行為等の適正化に関する条例」を施行している。これは市内全域で客引き行為を全面的に禁止するもの。特に客引きが多いエリアは「重点地区」やさらに罰則付きの「禁止区域」に指定し、市の指導員や地元住民によるパトロールや見回りを強化。治安悪化を未然に防いできた。

 一定の成果を上げていたものの、18年の検挙数は南警察署管内だけでも145人。原因は罰則のない隣接地での違法な客引き行為が後を絶たないためだ。そこで、2日から禁止区域を法善寺横丁、道具屋筋、茶屋町にまで拡大することになった。禁止区域に指定することで、指導に従わない店舗や事業者に対して5万円以下の過料や氏名の公表ができる。

 地元のボランティア団体から客引き行為が減らない現状を訴えられた大阪府警の石田高久本部長は「一斉に摘発するなど、これまで以上に取り締まりを強化し、ミナミを訪れる人の安心の確保に努めたい」と話した。

 大阪では今年6月28、29日に「G20・大阪サミット」が開催され、37の国と地域から要人が訪れる。関係者を含めると、その数およそ3万人。さらに、秋にはラグビーのワールドカップ、20年の東京五輪、21年ワールドマスターズゲームズなど日本では世界的なスポーツイベントがめじろ押しだ。その後には24年の統合型リゾートの開業を控え、25年の大阪・関西万博へとつながる。

 実際、18年のインバウンド客は過去最高の1200万人を更新する勢い。大阪・河内長野市生まれの吉村市長も「子どものころから親しんできたミナミの街を良くしたい」と話し、大阪の繁華街の健全化にひと肌脱いだ。会見の席上で今回からパトロール時に着用される真っ赤なジャンパーを身につけ、客引きの撲滅をアピール。大阪のさらなる活性化に向け、南海なんば駅前の整備、御堂筋の歩行者天国、道頓堀川の浄化を強調した。

 地元のボランティア団体の福長徳治さんは「官民一体となって安全安心で明るくて、楽しい大阪ミナミの街にしていきたい」と願っている。本気になった大阪の街。不名誉な“名物”の根絶やしを目指す奮闘は続く。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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