【西野ジャパン86日間の軌跡・2】ロシアのピッチで証明されたハリルの言葉と遺産

 西野ジャパンの戦いは16強で幕を閉じた。ハリルホジッチ前監督の解任を受け、西野朗新監督(63)の就任が発表されたのが4月9日。親善試合でなかなか勝てず、1次リーグ第3戦のポーランド戦では他者に命運を託すボール回しで批判を浴びるなど、苦しみながら一枚岩になったサムライブルーの舞台裏に迫る。

  ◇  ◇

 ベルギーに敗れた夜。記者会見で西野監督はこう語った。

 「ハリルホジッチ監督がずっと積み上げてこられたスタイル、チームにもたらしたものは大きいと思う。ある程度、選手に染みついているところもあり、継承する部分もある。ハリル監督が伝えてきたコンタクトの強さ、縦への強さは間違いなく必要。それは選手も感じている」

 15年3月に就任したハリルホジッチ監督は、“デュエル(決闘)”をキーワードに厳格な肉体面と精神面の改革を求めた。日本の弱点とされるフィジカル面に真正面から向き合った。体脂肪率は12%以下の明確な基準を設定。戦術では、日本国内で信奉されがちの、ショートパス中心の「ポゼッションサッカー」ではなく、まずはゴールに向けて素早く最短距離で突き進む手法にこだわった。

 特にフィジカルの強化に口酸っぱかった。体脂肪率は「基準を上回った選手は(代表)合宿に呼ばない」と断言。代表活動期間外での基礎フィジカル向上の必要性を唱えた。

 体格が優れる相手にも肉体的なコンタクトをいとわない戦いを求める。結果として厳格な指導スタイルとW杯直前にして結果が伴わない状況で選手との距離感が離れていき、解任の憂き目にあったが、要求は就任以来一貫して変わらなかった。

 W杯では、屈強なフィジカルから逃げずに立ち向かったセネガル戦や、ベルギー戦でのMF原口のゴールなど、前指揮官の意向はピッチ上の随所で発揮された。8強には届かなかったが「私が厳しい要求をしているのではない。W杯という舞台が厳しい要求をしているのだ」というハリルの言葉は、ロシアのピッチで証明された。

 日本の弱点とされてきたフィジカル面に目を背けず、向き合った4年間。ただ、“ハリルの遺産”を本大会でいかんなく発揮させることができた裏側には、オールジャパンで挑んだスタッフの尽力があった。

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