「全国高校サッカー選手権・決勝、神村学園3-0鹿島学園」(12日、MUFG国立)
史上最多6万142人を集めて決勝が行われ、神村学園(鹿児島)が鹿島学園(茨城)を3-0で圧倒し、初優勝した。鹿児島県勢では2004年度の鹿児島実以来、21大会ぶりの頂点で、昨夏の全国高校総体との2冠を達成した。前半19分にFW日高元(3年)が得点ランキングで単独トップとなる今大会7点目を決めて先制。その後も2点を追加した。鹿島学園は初の頂点に届かなかった。
無人のゴールに狙いすましたシュートが吸い込まれていった。日高とFW倉中悠駕(3年)、大会を通じて激しい得点王争いを繰り広げた神村学園の2人。最後は背番号13が一歩前に出た。「人生で一番最高のゴールでした」。試合後は倉中から「おめでとう」の祝福。ハグで喜びを分かち合った。
ライバルの存在が日高を大きく成長させた。初戦から2戦5発と好スタートを切るも、無得点だった準々決勝では4ゴールを挙げた倉中に大会総得点で抜かれ、悔しさで涙。「自分だけの世界に入ってしまった」と自暴自棄になり「得点王はもういいかな」と、一時は諦めたという。
だが、有村監督らの「まだチャンスはある」という言葉に奮起。同時にチームの勝利が何より大事と再確認した。準決勝では同点弾、決勝では先制弾とよみがえり、神村学園では3大会前の“背番号13”福田獅王(カールスルーエ)以来となる得点王に。その活躍ぶりで大会中に一部Jクラブから「声をかけてもらった」と新たな道が開けた。
有村監督が就任12年目でつかんだ初優勝。明確な成長戦略をたどってきた。最初の5年間は「神村のサッカーを見てもらう」と、勝敗よりボールを保持して前進するスタイルの確立を重視。その後は「勝つ全国大会」にシフトチェンジした。この日の1点目は細かくつながず、中盤のロングボールから。柔軟に戦術を使い分ける試合巧者ぶりが板についている。
史上6校目の夏冬2冠を達成。有村監督は「奇跡的なこと」と謙遜するが、J内定者3人を擁する地力の強さが光った。「子どもたちが憧れを持ってくれたら何よりうれしい」。この優勝を見て、目を輝かせた金の卵が神村学園の門をたたくはず。黄金時代はこれからだ。
◆日高元(ひだか・はじめ)2007年11月13日、宮崎県出身。神村学園中から神村学園高に進学。決定力と献身性の高い運動量が武器。今大会で得点王を争ったチームメートの倉中とは小学校時代、宮崎県の選抜チームメートだった。卒業後の進路は未定だが、今大会の活躍で一部Jクラブから声がかかっている。憧れの選手はFW高岡伶颯(バランシエンヌ)。165センチ。64キロ。