【福西崇史氏の視点】日本のレベルが上がったことを世界に知らしめた

 「国際親善試合、日本代表3-2ブラジル代表」(14日、味の素スタジアム)

 日本はブラジルに逆転勝ちし、14度目の対戦で初めて白星を挙げた。前半を0-2で折り返し、後半にMF南野拓実(モナコ)、中村敬斗(スタッド・ランス)、上田綺世(フェイエノールト)が得点。5度のW杯制覇を誇るブラジルとは通算1勝2分け11敗となった。2002年日韓、06年ドイツW杯日本代表の福西崇史氏が分析した。

 ◇   ◇   ◇

 前半の反省点もあっただろうが、いけるときにいっていることが1点目につながった。南野のゴールはプレスがはまり、相手の一つのミスで点を取れたのは、守備のはめ方が前半からうまくいっていた部分だ。

 0-2で負けていたからかもしれないが、行かざるを得ない状況だった。勢いが点につながり、同点にしたときはみんな走れるようになった。逆にブラジルは止まってきた。

 中村のゴールだが、まずはうまくいったのが伊東の起用だ。裏に抜けることができたものの、堂安がキープしたときに、近くに久保がいるという良さもあった。伊東が裏に抜けるというスピードの生かし方ができた。伊東はボールを持っていた時に逆サイドの中村を見ていた。しっかりボールを出せていて、得意技を発揮できた。

 前半、右が奥まで行けないから、中村はゴール前まではなかなか行けずに、ペナルティーエリアの外でもらってドリブルというシーンが多かった。それが、伊東が出たことでライン際まで突破できた。

 上田のゴールは、前を向いてあれだけフリーになったら勢いよく入れる。そこは彼の良さ。あとは周りを含めてどう生かすかで、彼にどれだけいい状況でボールを持たせるか。ボールを保持できたときは上田をうまく使える。

 ブラジルに対しては何もできなかった歴史があるし、日本のレベルが上がったことを世界に知らしめた。歴史的勝利と言える。2005年6月のコンフェデ杯、ブラジルと対戦して2-2で引き分けた。あのときに対戦したが、受け身でしかなかった。ブラジルの方が少し余裕があった。試合の中でリズム、力の使い方を変えていた。その辺で相手との差を感じていた。

 今は自分たちのペースに持っていける力がある。押し込めることができるし、チャンスも作れる。レベルがものすごく上がっていると感じる。

 パラグアイ戦まで3試合勝利がなかったものの、けが人が多い中でメンバーが変わると落ちてしまう。ブラジル戦はベストメンバーをぶつけると思っていたが、そのメンバーだとここまでできると見せられた。

 ブラジルは試しの部分もあっただろう。本来のブラジルではないと思うが、それでも個は強かった。逆転できたのは日本のレベルが上がったと言える。

 日本の課題を挙げるなら守備。守備のラインを作ると言っても、5枚並んで、相手は1人か2人のときにやられている。積極的で攻撃的な守備も見たい。人がいなくなっていて苦しいのは分かるが、守備のレベルアップを期待したい。

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