【福西崇史 熱血EYE】2失点目がすべて 4試合を通してトータルでアピールしたのは伊藤

 「キリンカップ、日本0-3チュニジア」(14日、パナソニックスタジアム吹田)

 決勝が行われ、本番想定のベスト布陣で臨んだ日本代表はW杯出場国のチュニジアに0-3で完敗しタイトルを逃した。後半10分、DF吉田麻也主将(33)=サンプドリア=のファウルでPKを与え先制点を許すと、同31分、お粗末な連係ミスで失点を重ねた。攻撃陣もチャンスを逸し続けて不発。6月4試合のラストで攻守に不安を残した。

  ◇  ◇

 すべては2失点目だった。ゴールキックから後ろへ流し、吉田も板倉もGKを見ていたが、シュミットは違った。ボールがワンバウンドして、吉田はGKを見た。板倉がもう一回GKを見た。でもシュミットは出る判断はしなかった。ディフェンスと後ろの連係が取れていなかった。

 1失点目は吉田のミス。今日の吉田は集中力が切れていた感じだった。疲れかもしれないが、こういうことがあり得るときに、他に選手がいるかというといない。こういうミスは起こり得る。みんなで助けるということが、この試合では見られなかった。

 2失点目で相手に余裕が出て、5バックでこられた。カウンターを受けることは当たり前にあるし、やはり2失点目だろう。

 前半からチュニジアのブロックに苦しんだが、遠藤があれだけ囲まれたのは相手の狙いどころ。そこを打開できなかった。たら・ればはないが、1点でも取れたら違う展開になっただろうし、決定力がなかった。決めるべきところでチャンスが少なかったことを考えると、崩しにも工夫がなかった。攻撃に関しては不安が残る。

 W杯に向けた選手選考に関しては、今回の4試合のメンバーをベースにいこうと考えていたと思う。森保監督がどう判断するかだが、ほぼこの中から選ぶだろう。コンビネーション、フォーメーションについては分かったわけで、この中からどれが一番いい選択かになる。

 4試合を通してトータルでアピールしたのは伊藤だ。伊藤と三笘なのか、伊藤と南野なのか?など、今日はコンビも見られた。一番やれることを見せた一人だ。海外の選手を相手にある程度できるところからきて、森保監督は3試合使っている。期待が上がった選手で、この中では一番アピールした。伊藤以外では鎌田、原口、板倉だろう。

 今後の課題だが、試合のコントロールがなんかできないと感じる。どうしたいのか、と思うところがある。攻撃でゲームを動かすのは遠藤ではないと分かった。だとしたら遠藤から早めにさばき、鎌田か原口かに早めに渡すことができたとき、ゲームメークをどうするのか、が課題になるだろう。田中だったら攻撃はいいが、守備に不安を残すとなると遠藤かなと思う。攻守ともに、という選手を探したいが、難しいところだ。

 ここから選手を選んでチームを作り、選考会の一つだった試合。もちろん修正には時間があるものの、チームとして不安の残る結果となった。(02年日韓、06年ドイツW杯日本代表=デイリースポーツ評論家・福西崇史)

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