「天皇杯・決勝、浦和2-1大分」(19日、国立競技場)
J1勢による決勝が行われ、浦和が大分に2-1で競り勝ち、3大会ぶり8度目の頂点に立った。1-1の終了間際に今季で退団するDF槙野智章(34)がヘディングシュートを決めた。優勝回数は前身の三菱重工時代を含め、慶応BRB(全慶応)に並んで大会最多となり、来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得した。
この男を形容する言葉が見当たらない。今季限りで退団する槙野が奇跡の決勝弾を決めた。「お祭り男、エンターテイナーですから。全部持っていきました」。コロナ禍以降で最多となる5万7785人の大観衆に向けて笑みをはじけさせた。
守備固めで後半38分に投入され「槙野劇場にしたいと沸々と思っていた」。同45分に今大会初失点となる同点ゴールを許したが、それも「劇場」の序章にすぎなかった。延長も脳裏をよぎったが、GK西川から「マキ(槙野)が決めてこい」と背中を押された。
迎えた後半48分。CKのこぼれ球をMF柴戸がボレーでたたくと、前線に残っていた槙野が頭でコースを変え、ゴールに流し込んだ。千両役者はユニホームを脱ぎ、ゴール裏に駆けた。「レッズの5番、槙野を忘れてほしくない一心」と自らのユニホームをサポーターに向けて掲げた。
11月5日に契約満了を通達され「毎日泣いていた」という。それでも落ち込む姿を見せるとチームの士気に影響すると、努めて明るく振る舞った。揺れ動く1カ月間を過ごし、最後に「ご褒美が待っていた」と表現した。
3大会ぶり8度目の優勝とACL出場権を置き土産に、10年間在籍した浦和に別れを告げる。引退する阿部に天皇杯を掲げてもらい、花道も飾った。「最後の宿題を達成できた」と充実感に浸った。来季はJ1神戸に単年契約で加入することが決定的となっている。
血の入れ替えは加速する。決勝の先発メンバーは11人中8人が今季加入の選手。阿部、槙野、宇賀神といった長年の功労者に加え、さらなる選手がクラブを去る。22年のリーグ優勝を掲げた「3年計画」。来季はその最終章を迎える。