森保ジャパン 涙の劇勝 2位以内望みつないだ 全勝・豪州撃破「みんなの勝利」

 「W杯アジア最終予選、日本2-1オーストラリア」(12日、埼玉スタジアム)

 B組の日本はオーストラリアに2-1で競り勝った。2勝2敗で勝ち点を6に伸ばし、3勝1敗となったオーストラリアとの差を3に縮めた。負ければ進退問題が浮上する窮地で森保一監督(53)の采配が見事に的中。先発起用のMF田中碧(23)=デュッセルドルフ=が先制ゴールを決め、後半に追い付かれたが、途中出場のMF浅野拓磨(26)=ボーフム=のシュートから勝ち越し点が生まれた。自動的に本大会出場権を得られる2位以内へ望みをつなげる勝利となった。

 追い込まれた日本がW杯への夢をつないだ。1-1の後半41分、途中出場の浅野が左足で放ったシュートが相手GKの手を弾いた。こぼれたボールに古橋が猛然と詰め寄り、オウンゴールを呼び込んだ。自動的にW杯出場権を得る2位以内確保に望みをつなぎ、森保監督の進退も救う大きな勝ち点3だった。

 窮地を乗り切った森保監督は「毎試合、代表監督としての道が続くのか、終わるのか岐路に立っている。今日、特別に進退を考えることはなかった」と冷静に振り返った。その表情とは裏腹に、試合前の国歌斉唱では感極まったのか、目に涙を浮かべた。「毎回、君が代を歌って試合をできるということを喜びに、誇りに思っている」と心情を説明した。

 背水の大一番でついに動いた。サウジ戦で致命的なパスミスを犯した柴崎と最終予選を通じて精彩を欠いていた鎌田を外し、守田と田中を最終予選初先発に抜てき。中盤の構成を逆三角形に見直し、4-3-3の布陣で活性化を図った。

 「守りに入らない、勝利をつかみ取る前向きな采配をしたいと思っていた」。采配は的中し、前半8分に田中が貴重な先制点を決めた。苦境のチームを勇気づける大きな一撃だったが、森保監督は拍手するだけで努めて冷静に戦況を見つめ続けた。さらに采配は当たる。決勝点は後半に投入した浅野が奪った。最後には柴崎にも再びチャンスを与えた。

 チームをよみがえらせた指揮官は「特別何かをやった訳ではない。選手たちが意識高く試合に臨んでくれたことがパフォーマンスに直結した」と振り返った。試合後の円陣では「みんなの勝利だ」と語りかけ、あくまでも選手をたたえた。

 実直な人柄で選手を信頼し、ピッチ内での修正力を磨くために、あえて選手の自主性を重んじてきた。メンバーや布陣こそ変えたが、根幹の姿勢は変わらなかった。試合を終えてスタンドに向かって一礼し、観客への感謝を語りかけた。その目は再び潤んでいた。

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