J1広島・茶島は広島のサッカー少年に夢を与える小さな巨人

 公称166センチの身長。最近はなにかと「大型化の必要性」が言われる中で、J1広島のMF茶島雄介(29)のサイズは小さい。それでも今や、彼をスタメンから外すことは考えられない。

 10月以降の10試合でスタメン落ちはアウェー鹿島戦から中3日で迎えたホーム横浜M戦(10月28日)の1試合のみ。城福浩監督の信頼は絶大だ。

 「戦術的な指示を行っても、チャジ(茶島)はすぐにピッチで表現できる。サッカーに必要とされる知性がとても高い。無理をするところ、ゲームを落ち着かせるところの判断も含めて、本当によくやってくれています」

 茶島の名前が知られたのは、2015年のクラブW杯。持ち味の細かな技術とアグレッシブな姿勢で攻撃の一翼を担い、アルゼンチンの名門・リバープレートや広州広大といった強豪と互角以上に渡り合い、世界3位に貢献。飛躍のきっかけをつかんだ。

 この年、リーグ戦ではわずか3試合しか出場できず、大半をベンチの外で過ごしていた。しかし、彼は一度も腐ったことがない。広島の闘い方をしっかりと頭に入れ、ピッチに立ったら何をするべきかをずっと考えていた。

 「あの時はケガ人が多発して、突然クラブワールドカップの舞台に立った感じですから」

 もちろん、運はある。ただ、その運をつかんだのは茶島の生真面目な準備の確かさだ。

 「たとえ試合に出られなくても自分の商品価値を高めるために、やり続けないといけない」

 森保一前監督の言葉に感銘を受け、継続を力にして闘ってきた。その精神性を持ち続けたからこそ、今季の開幕でベンチから外れても下を向かない。その姿勢が、今につながる。

 スクールからずっと広島の育成組織で育ってきた生え抜き中の生え抜き。「広島のサッカー少年たちに、頑張れば夢をつかめることを示す。それが自分の仕事だと思います」と故郷への想いを口にする小さな巨人。茶島の情熱と生き様はきっと、広島の少年たちの心を動かすはずだ。

(紫熊倶楽部・中野和也)

 茶島雄介(ちゃじま・ゆうすけ)91年7月20日生まれ。広島市安芸区出身。身長166センチ、体重60キロ。ポジションはMF。背番号25。小学1年の時にサンフレッチェ広島のスクールでサッカーを始める。ジュニア、ジュニアユースを経て07年にユースに昇格。10年に東京学芸大に進み、14年に広島入り。18、19年はJ2千葉に期限付き移籍。広島に復帰した今季はJリーグ25試合出場、0得点(20日現在)。代表歴は10年にU-18日本代表、13年にユニバーシアード日本代表。

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