田嶋会長、医療崩壊切迫を訴え…患者になって分かった“最前線” コロナ入院から退院
新型コロナウイルスに感染した日本サッカー協会の田嶋幸三会長(62)が2日、東京都内の病院を退院し、ウェブを利用した記者会見を行った。3月17日に著名人として日本で初めて感染したことを発表していた同会長は、自身の入院体験を振り返りつつ「医療関係者を疲弊させないことが大事」と迫り来る医療崩壊への懸念を示した。
見えない敵を克服した田嶋会長が口にしたのは、医療関係者への謝意と医療崩壊への警鐘だった。3月16日から入院生活を送った同会長は「ドクターや看護婦さんがバタバタし始めたというのが日に日に分かった」と、切迫した医療現場の状況を切実に訴えた。
「最初は(自身の)病室に入るたびに(医療関係者が)エプロンやメガネの上に付けるゴーグルのようなものを取り外して処分していた。でもそういうものが足りなくなってきた」と振り返り、「患者が増えてくると他国で起こっているように医療関係者が感染するという、一番恐れている状態が増えていく。医療崩壊をすぐにでも招いてしまう」と強い懸念を示した。
新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査数が少ないことに批判が集まっているが、田嶋会長は自身の家族ですら検査を受けられなかったことを明かし「検査を増やさないように(医療機関が)努力しているんじゃないか」と推察。「軽症者をどこにどう集めて治療、隔離しようとか、陰性が2回続けて出ないと今のルールでは退院できない。そうなると、どんどんベッドが埋まっていく。重症の方が出た時に入れないのが目に見えている」と持論を展開した。
自身の病状については「咳はあまりなく、微熱が1週間くらい続いたが、2週目からは落ち着いていた」と明かした。当面は自宅には戻らず、隔離生活を続けながらウェブ会議などで業務に携わっていくという。サッカー界だけでなく、世界を取り巻く状況は危機的だが、「命さえあれば経済の立て直し、サッカー、スポーツ何だってできる。亡くなったら何もできなくなる。これを忘れちゃいけない」と呼び掛けた。




