J1広島 大歓声に包まれる日を見据え…鍛錬の日々 新型コロナ影響でJリーグ中断

 素晴らしいゴールを決めても、情熱的なボール奪取を成功させても拍手も歓声もない。

 新型コロナウイルス流行の影響により公式戦が延期になり、トレーニングマッチも練習も非公開にせざるをえない。しかし、サポーターの存在がないサッカーがいかに空しく、寒々しいか。非公開となったことで、現実が改めて突き付けられた。

 攻守でチームを牽引するJ1広島・川辺駿は語る。

 「サポーターに見られているかどうかで、意識は違う。プロはサポーターに見てもらってプレーするべき」

 守備の大黒柱・野上結貴も「公式戦では無観客は避けたい」と口にした。プロとして誰のためにプレーするべきか、選手たちは肌感覚で理解している。

 リーグが再開され、サポーターの前でプレーできるのがいつになるのか。現時点では4月3日の予定だが、確定ではない。この状況でモチベーションとコンディションを保つことは困難だ。ただ、城福浩監督は言う。

 「危機に陥った時の日本人は、いい準備をして次に備えようと考える特性を持っているし、そこは信頼している。一方で外国人選手たちにとっては、家族の心配もあるし、そこは気を配りたい」

 確かに故郷から遠く離れて生活している外国人選手の心情は、察するにあまりある。ただブラジル人選手のリーダー格であるドウグラス・ヴィエイラは「家族がまだ来日できていないだけに心配だが、電話で毎日話はできている。大切なのは今の状況を理解して、再開に向けて準備することだ」と気丈に話す。

 今は練習も無観客で、サポーターからの声援も消えた。しかし選手たちはやがてくる大歓声に包まれる日を見据え、自身を鍛え続ける。

 「自分たちよりももっと苦しく厳しい現実と向き合っている人はたくさんいる。日本経済も含め、どこかで日常へのスタートを切らないといけない。そのスタートの一助に我々がなれるのなら、どんな準備でもやっていける」

 城福浩監督の決意は、チームの覚悟でもある。(紫熊倶楽部・中野和也)

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