ドウグラス・ヴィエイラ、サンフレッチェの浮沈握る心優しきブラジリアン

 日本人でも性格が個人によってバラバラであるように、ブラジル人がみんな陽気なわけではない。サンフレッチェの4人でいえば、ハイネルやエゼキエウはにぎやかだが、レアンドロペレイラは誇り高くて我が道を行くタイプ。そして最年長者であるFWドウグラス・ヴィエイラ(32)は、物静かで生真面目だ。そして何より、彼は優しい。

 指宿キャンプ。筆者は彼に取材を申し込んだ。ただその時は、2人の通訳が他の選手の取材にかかっていて、手が取れない。「次にしてくれよ」と言われるかと思った。ところが、である。「なんなら、日本語でインタビューする?」。明確な日本語だった。

 来日して5年目、確かに少しくらいは日本語ができたとしても不思議ではない。ただ、多くの外国人選手は、たとえ日本語が使えてもメディアの前では通訳を通して取材を受ける。聞き間違いや言い間違いも生じないから選手もクラブとしても安心なのである。

 彼の日本語もまだ、サッカーの細かな表現を子細に話せるほどではない。取材には通訳が必要で、単純に筆者の時間を気遣って言ってくれただけ。でも、その気持ちが嬉しい。「調子がよさそうだ」。筆者の日本語に新しい9番は笑った。「もちろん。コンディションはいいからね」。

 日本語での返事どおり、ドウグラス・ヴィエイラは開幕から好調。16日、ルヴァンカップ初戦の横浜FC戦では今季のチーム初得点を決めて勝利に貢献した。「昨年はケガの連続で悔しい思いばかり。だから今年はオフからしっかり準備してきた。リーグ開幕となるホームの鹿島戦(23日)も絶対に勝ちたい」。

 ボールのキープ力はチーム随一。自分で点を決めることも決めさせることもできる万能アタッカーが先発した昨年の戦績は12勝5分4敗。平均勝点1・95はそれ以外の1・08を大きく上回り、彼が全試合先発すれば優勝争いも可能なレベル。優しきブラジリアンの活躍は、チームの浮沈を握ると言っていい。(紫熊倶楽部・中野和也)

 ◆ドウグラス・ヴィエイラ 1987年11月12日生まれ。ブラジル出身。ポジションはFW。189センチ、83キロ。背番号20。09年にプロとなり、ブラジル国内のクラブを渡り歩く。16年から18年はJ2東京Vに所属し、通算108試合出場で37得点。昨季、広島に移籍し、25試合出場で7得点を挙げた。

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