J2熊本、震災後初星 今季最多5得点

 「J2、熊本5-2金沢」(8日、ベストアメニティスタジアム)

 J2熊本が今季最多得点でリーグ戦復帰後初勝利を挙げた。熊本地震以降初の九州でのホーム開催。同じ九州のクラブでもあるJ1鳥栖のホーム、ベストアメニティスタジアムで金沢に快勝し、連敗を「6」で止めた。

 久々のダンスは少しぎこちなかった。勝利後にサポーターと踊る、恒例の「カモンロッソ」-。3月26日の長崎戦以来74日ぶりの“儀式”だった。「喜び方を忘れてしまった」。被災地にようやく1勝を届けられたとあって、精神的支柱のFW巻は安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 開始23秒だ。相手DFに競り勝ったMF嶋田からのパスを受けたFW平繁が先制弾。前節岡山戦までの4試合で1得点の攻撃が復活した。6-0で勝った2009年9月6日の草津戦以来となる5得点に清川監督は「点を取りたい気持ちが形になった」と目を細めた。

 地震後初の九州開催。7日の夕食後にMF岡本主将とGK佐藤が提案し、宿泊先のホテルで選手だけで話し込んだ。「やるべきことはチームのために走って、仲間を信頼してチャレンジしよう」と巻が訴えるなど原点に立ち返った。

 圧巻は前半44分の5点目。自陣で味方がボールを奪ってカウンターが始まると、5選手が前線へ。左サイドからのクロスボールに対し、逆サイドから駆け上がったDF黒木が頭で決めた。「すごい(前線への駆け)上がり。全員が球際で体を張っていた」。常に「半歩先へ」とハードワークを呼び掛けてきた清川監督は選手に感謝した。

 試合後、岡本主将は真っ赤に染まったゴール裏のサポーターに伝えた。「ここからがスタートです!」。本拠地のうまかな・よかなスタジアム(熊本市)は使えない日々が続く。それでも被災地を勇気づける戦いは前進した。

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