逆境越えた鳴門 夢舞台で旋風起こすぞ

 鳴門(徳島)が3年ぶり4度目の全国高校サッカー選手権(30日開幕)に挑む。夏場に指導者不在のピンチに陥ったチームは一丸で苦しい時期を乗り越え、県大会では計4試合で23得点無失点と強さを見せつけた。個性豊かな攻撃陣と2年生中心の守備陣が結束し、夢舞台で“鳴門旋風”を狙う。

 今年の鳴門にはタイプが異なるタレントが攻撃陣にそろう。

 持ち味はサイドを使ったダイナミックな攻撃。右MF丸川侃矩(3年)と左MF中尾慶心(3年)が積極的に仕掛け、180センチの屈強なFW川添晃(3年)とチーム一の俊足FW坂本一真(2年)が高い決定力でゴールに迫る。

 県大会4試合で計23得点。決勝では優勝候補の筆頭・徳島市立を1-0で下して3年ぶりの全国選手権出場を決めた。後半37分、相手DFの裏を突く得意の形で決勝ゴールを突き刺したFW坂本一は「今年の鳴門はいろいろな攻撃ができるのが強み。あとは選手権までにシュートの確率を上げたい」と大舞台を見据える。

 県大会では4試合無失点と鉄壁の守備を誇り、「粘り強く守れた」とGK河野匠哉(3年)は胸を張る。4人全員が2年生のDFラインを的確なコーチングで統率。決勝では好セーブを連発して何度もピンチを救った。

 ここまでの道のりは険しかった。チームを全国レベルに押し上げた香留和男前監督が3月に定年退職。6月の県総体決勝では徳島市立に1-5の大敗を喫した。直後の7月には後任監督が体調不良でチームを離れ、指導者不在のピンチに陥った。

 約1カ月間、選手だけで練習を行う日々。ボランチのMF坂本優斗主将(3年)は「どんな練習をすればいいか分からず、雰囲気が緩んでチームをまとめるのが難しかった」と振り返る。

 目標を見失いかけた選手たちからの強い要望を受け、春に退任していた計盛(かずもり)健一コーチ(42)が8月に復帰した。ただ、同コーチが指導できるのは仕事の都合で週2~3日。不在の日はメールで練習メニューが伝えられ、選手たちは厳しく声を掛け合いながらトレーニングに励む。監督には木内茂教諭(51)が就任。サッカー経験はないため、精神的サポートでチームをもり立てる。

 苦しい時期を乗り越え、つかんだ全国切符。大みそかの1回戦の相手は秋田商に決まった。今大会最多41度目出場の名門に対し「球際で厳しく、高校生らしく走り、見ている人が感動するようなサッカーをしたい」と計盛コーチ。坂本優主将は「目標は3勝以上。ベスト8より上に行きたい」と力を込めた。

 まずは初戦。初出場だった02年度大会以来、13年ぶりの白星で勢いをつけ、全国舞台で鳴門旋風を巻き起こす。

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