徳島、四国初のJ1 成長戦略実を結ぶ

 「J1昇格プレーオフ・決勝、京都0-2徳島」(8日、国立)

 徳島が京都を2‐0で破って四国に初めてのJ1クラブが誕生することになった。大塚製薬サッカー部を前身とする徳島は2005年からJ2に参戦し、9年目で待望の昇格を勝ち取った。来季はJ2の愛媛と、日本フットボールリーグ(JFL)からこの日J2に昇格したカマタマーレ讃岐(香川)を合わせ、四国の3クラブがJリーグでプレーする。

 ひたむきに戦った男たちに、待ちわびていた瞬間が訪れた。国立の空に響いた終了のホイッスル。徳島の選手たちは両手を突き上げ、青く染まったサポーター席からは雄叫びが上がった。四国初のJ1クラブ誕生を告げる、歓喜の産声だ。

 細かいパスをつなぐ京都に圧倒的にボールを支配されたが、執念の守備で耐えた。前半39分、右CKからDF千代反田が頭で先制。さらに4分後、直近10試合でゴールがなかったFW津田が、FW高崎からのパスに反応。裏へ抜け出す得意の形でネットを揺らした。

 「点を取るのはオレしかいない、そういう気持ちで戦った」と津田。13本のシュートを放った京都に対し、徳島はわずか4本で2点を奪った。

 長い道のりだった。1955年創設の大塚製薬サッカー部を母体に05年にJ2参入したが、翌06年から3年連続で最下位。地域密着の思いとは裏腹に、県民からは冷めた目で見られていた。

 ただ、その間にも浮上への準備をじっくりと進めていた。天然芝2面、人工芝1面を誇る練習グラウンドを建設。今季に広島から加入したFW大崎が「広島よりいい」と驚くほどの設備を持つクラブハウスも完成した。

 J1に負けない環境が整うと、09年からは資金を戦力強化に集中。J1で実績を積んだ選手や有望な若手を次々に獲得した。

 今季も日本代表経験のあるMF柴崎、実績十分のDF千代反田らが加入。前半こそ低迷したが、新加入選手と既存の選手が融合し始めた夏場以降は、12戦連続無敗を記録するなど躍進を遂げた。

 08年12月に就任した新田広一郎社長(46)は「練習環境のよさが評価され、いい選手が徳島に来てくれるようになった」と喜ぶ。9年間かけた成長戦略が実を結び、昇格という大輪の花が咲いた。

 津田は意気込む。「四国は注目されにくい場所。J1に上がることで見てもらえるし、サッカーのレベルが上がる」。四国の期待を一身に背負う来季。渦潮のような底知れぬパワーを、J1の舞台で見せつける。

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