C大阪堺レディースが目指す「究極の育成」

 わずかに残る桜の花びらが舞い散る4月14日。大阪市西成区の南津守さくら公園スポーツ広場で、なでしこリーグ2部に相当するチャレンジリーグ第2節・C大阪堺レディース‐福岡ANの一戦が行われた。

 今季昇格したばかりのC大阪堺。この日のベンチ入りメンバー16人の平均年齢はちょうど14歳で、スタメンは高1が5人、中2、中3が6人という顔ぶれだった。

 昨季までなでしこリーグに所属し、平均年齢で約9歳年上の格上に1‐3と敗れ開幕2連敗となったものの、前半は1‐2で折り返すなど健闘した。竹花友也監督は「課題は多いけれどスピードなどには慣れてくる」と手応えを語り、主将を務める15歳のMF西田明華も「負けるのは今日までです」と、自信を得た様子だった。

 C大阪堺は、10年4月に「C大阪レディースU‐15」として中学1年生14人でスタート。11年に関西女子サッカーリーグ2部から1部に昇格。12年4月に「C大阪レディース」に改称し、同年11月のチャレンジリーグ入れ替え戦予選大会で勝利し、自動昇格の権利を得た。当時中学生だけのチームでの快挙だった。

 今季は「C大阪堺レディース」としてチャレンジリーグを戦う。所属選手はトップチームの「レディース」20人と、ユースチームに当たる下部組織の「ガールズ」24人を合わせた44人で、高1から中1までの4学年で構成されている。

 C大阪と女子サッカーの関わりは8年前まで遡る。05年、スクールに女子クラスを創設。07年からは月1回のレディースクリニックを開催。地道な普及活動を続けてきた。

 将来のなでしこリーグ参入を目指すC大阪堺だが、最初から大人のチームで挑むという選択肢もあったはず。なぜ中学生のチームだったのか。「一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ」代表理事の宮本功氏は「女子サッカーの環境が、大人のチームを作れる状況ではなかった」と語る。

 大阪府内の中学校に女子サッカー部は皆無で、街のクラブチームも数は限られている。中学年代の女子がサッカーを続けるための受け皿が不足していた。「女子サッカーの市場ができていないまま、お金に任せて大人のチームを作っても、お金がなくなったらそこで終わってしまう。まずは選手を育てていく土壌、仕組みを作らなければならない」と、宮本氏は説明する。

 究極の育成型クラブを目指す。今年1月に行われたC大阪堺の新体制会見で、J1C大阪を運営する「大阪サッカークラブ株式会社」の岡野雅夫社長は「将来的には下部組織で育った選手だけでなでしこリーグを戦いたい」とプランを語った。

 男子でも当然育成型クラブを目指しており、今季C大阪ではMF柿谷ら下部組織出身の選手が6人同時にピッチに立ったこともあった。「裾野を広げ、市場を拡大しないと強さは永続的には続かないし、女子サッカーも結局しぼんでしまう。一見すごく遠回りに見えるかもしれないけれど、実は一番の近道」と宮本氏は力を込める。

 C大阪堺の今年の目標はチャレンジリーグ残留。今季終了後に準加盟を申請し、3年でのなでしこリーグ昇格を見据えている。次戦は21日のHOYO戦(実相寺芝)。桜の乙女たちの挑戦は始まったばかり。ただ、その意義の大きさは計り知れない。

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