ポポ 劇弾!浦和V戦線残った

 「J1、柏1-2浦和」(29日、国立)

 浦和は後半ロスタイムにFWポポ(34)の劇的ゴールで柏を2‐1で下し、3位を保って優勝戦線に踏みとどまった。前半27分に交代を命じられたFW原口元気(21)がベンチ前で激怒する場面もあったが、チーム一丸の勝利で不穏な空気を払しょくした。

 自分に代わって入ったポポの劇的ゴールを、原口はベンチで立って見つめていた。何人かのスタッフとタッチをし、狂喜乱舞する仲間たちを尻目に、1人静かに引き揚げた。試合後は取材を受けることなく、真っ先にスタジアムを後にした。

 1‐1の後半ロスタイム。GK加藤が約45メートルの超ロングスローを前線に放った。途中出場のMF矢島が頭でつないだボールは相手ゴール前へ。全力で走り込んだポポが、GKが触るより先につま先で放ったシュートがゴールへ吸い込まれた。

 決勝アシストの矢島は、原口のことを気にかけていた。前半27分、G大阪戦で痛めた右足首の状態が悪いと見たペトロビッチ監督に交代を命じられた原口は、握手もそこそこに監督の目の前で両手を広げ怒りをあらわにした。チームメートになだめられ、ようやくベンチに座ったが、不満を隠そうともしなかった。

 矢島は「原口君は浦和の中心だと思っているし、モチベーションを下げられたらチームの調子も悪くなるから。僕は怖いから声をかけられなかったけど…」と、仲間が原口をなだめたシーンを振り返った。ギリギリのところでチームの和を崩さなかったことが、勝利につながった。殊勲のポポは「チャンスを生かすしかないと信じて、ボールを追いかけるしかないと思った」と無心を強調した。

 試合後、ペトロビッチ監督は原口が激怒したシーンを「見ていなかった」と笑った。「彼は(次戦の)札幌戦も必要になる。政治家的な発言ですがね」と不問とした。原口の無念さをくみ取ってチーム一丸で勝ち点3を奪い取った。今度は、原口が思いに応える番だ。

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