陽子、無回転3位弾!沢超え6戦6発

 「U20女子W杯・3位決定戦、日本2‐1ナイジェリア」(8日、国立)

 日本が3位決定戦で、ナイジェリアを2‐1で下し、初めてのメダルを獲得した。前半24分にエースのMF田中陽子(19)=INAC神戸=がゴール前約25メートルの距離から無回転シュートを放ち、国際サッカー連盟(FIFA)主催の大会で日本女子の1大会最多得点となる6点目の先制ゴール。観戦した、なでしこジャパンの佐々木則夫監督(54)、MF沢穂希(34)らをうならせた。決勝は米国がドイツを1‐0で退け、2大会ぶり3度目の優勝を飾った。

 ピッチ中央で両腕を突き上げた。田中陽は泣きじゃくる大柄なFW道上を背伸びして、抱きしめた。表彰式で優勝した米国の歓喜を見つめながら「悔しい」と目に涙をためた。

 鮮烈な無回転弾が世界3位を射止めた。前半24分。MF田中美からの平行パスを右足でトラップし2ステップで左足を振り抜いた。距離約25メートル。軌道は回転のないぶれ球でネットを揺らした。「サッカー人生で見たことのないショット」と、右手をはじかれたナイジェリアGKホワイトは驚がくした。スーパーゴールで聖地国立の観客席をうならせた。

 「無回転じゃないと、あの距離を入れる自信がなかった。前が空いたので、絶対打って流れを変えようと思って…。(無回転は)今まで練習してきたので、大舞台で成果を出せて良かった」。日本代表MF本田圭佑らの無回転シュートをDVDで研究し、蹴る瞬間の映像を一時停止して体重移動を何度も確認。練習場で実践を重ねてきた。

 超一流の背中を追った。準決勝ドイツ戦で世界2強との差を「フィジカルの違い」と痛感した。肉体強化の意識はJFAアカデミー福島に在籍した楢葉中学時代から高かった。14歳時の07年3月に鳥取市内のジム「ワールドウイング」に3泊4日で入門。初動負荷理論を掲げる同ジムには米大リーグ・ヤンキースのイチローやサッカー界ではカズ、本田ら一流競技者が集う。

 無名の田中陽が唯一会話した選手は通算セーブのプロ野球記録を持つ岩瀬仁紀(中日)だった。この夜、岩瀬は阪神戦後に「一躍ヒロインになったね」と祝福。田中陽も「岩瀬さん?え~うれしい!」と、礎を築いた当時を懐かしんだ。

 大会6ゴールで個人表彰を受けた。「人生が変わる大会だった。U‐17で銀、今回が銅。あとは金しかない。3年後にはなでしこに選ばれたい」。夢は16年リオ五輪の頂点。田中陽子の世界挑戦は、これからが本番だ。

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