なでしこ、金へ黄信号…フランスに完敗

 「親善試合、日本0-2フランス」(19日、パリ)

 ロンドン五輪を目前に控え、フランスで合宿を行っていたサッカー女子日本代表は19日(日本時間20日未明)、パリ市内でフランス女子代表と親善試合を行い、0‐2で敗れた。身体能力の高い相手に前半24分に先制を許すと、後半28分にはCKから被弾。攻撃面でも大きなチャンスをつくれない完敗で本大会前最後の強化試合を終え、悲願の金メダル獲得に黄信号がともった。チームはこの一戦で、英国入り前の直前合宿を打ち上げた。

 これが本大会だったら‐。そう思うとぞっとする。「残念だが、フランスはオフ明けでフレッシュな状態で、我々は準々決勝を想定し負荷をかけてきたからコンディションの差もあった。自信を失うものではないです」。佐々木監督は完敗にも前を向いたが、コンディションを差し引いても、内容は完全になでしこジャパンの力負けだった。

 前半24分に先制を許すと、後半28分には身長185センチ超の大型DFルナールに「まるで3階からのヘディング。次元が違った」(指揮官)という衝撃被弾。国内で男子相手に重ねてきた、身体能力を生かした攻撃への対策の結果を出せずじまい。攻撃面でもチャンスを生かせず、18戦ぶりの完封負けを喫した。

 世界を制したパスサッカーに各国は対策を立ててきている。この日もアルジェリア系の移民で“女ジダン”の異名を持つMFネシブが、MF沢の攻め上がったスペースで猛威を振るった。久々のフル出場となったDF岩清水は充実感を漂わせる一方で「相手の1・5列目のところがボールを奪いづらい。(他国も)日本対策としてやってくるかも。映像を見て守り方を話さないと」と危機感を募らせる。

 本大会でフランスは、米国と同じG組。F組の日本が1位突破でも2位突破でも準々決勝で対戦する可能性があるだけに、このままでは8強止まりになる恐れもある。

 もちろん収穫もあった。沢は、昨年9月以来のフル出場。試合を通じて中途半端な位置取りで、攻守にわたって存在感を放ったとはいえないが、前半43分には決定機に顔を出すなど、らしさも見せ「五輪前に90分できたことはすごく自信になった」と笑顔を見せた。指揮官も「沢はW杯の時だって、あんな感じ。過度な期待はしてはいけない。僕は満足している」と及第点を与えた。

 開幕まで残された時間は少ない。それでも指揮官は「またフランスに会った時には、絶対に粘りを見せて食らいついていきたい」と語る。授業料を払う機会はもうない。この完敗を、歓喜への糧としてみせる。

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