井上拓真が初防衛 井岡から2度ダウン奪い大差判定勝ち「楽しい戦いだった」 兄・尚弥に最高のバトンも「井上尚弥の弟じゃなく、井上拓真だとアピ-ルしたい」
「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(2日、東京ドーム)
王者の井上拓真(30)=大橋=が3-0の大差判定で同級4位の井岡一翔(37)=志成=を退け、昨年11月に那須川天心(27)=帝拳=との決定戦を制して獲得した王座の初防衛に成功した。井岡は日本男子では初の5階級制覇と最年長の世界王座奪取を狙ったが、偉業達成はならなかった。
誰にも文句を言わせない完勝だった。王者・井上拓が4階級制覇のレジェンドを退け初防衛。「レジェンドという相手があってからこその今日の自分だと思う。この強い自分を生みだしてくれたのも井岡選手。自分の中であっという間の時間だった」。チャンピオンベルトを高々と掲げた。
1回から積極的に攻撃。2回、ラスト10秒を切ったところで畳みかけた。連打から右フックでキャンバスに沈めると、3回は開始わずか40秒、右アッパーで2度目のダウンを奪う。その後も集中力を切らさず、スピードで圧倒した。3-0の大差で判定勝ち。「自分の中で楽しい戦いだった」と張り詰めた空気の中、ニヤリと笑った。
昨年11月、同級王座決定戦で那須川天心と激突し、判定勝ちで世界王者に返り咲いた。悔しさが消えない天心は、4月11日のWBC世界バンタム級挑戦者決定戦でTKO勝ちを収め、王者への挑戦権を獲得。拓真との再戦を熱望していた。
拓真は「今は井岡選手とどう戦って、どう勝つかだけに集中している」と天心の挑戦状に目もくれていなかったが、それでも「また戦えば、また自分が勝つ自信はある」と負けるつもりは一切ない。そしてこの日の勝利で、周囲が待ち望む戦いが再び実現する可能性は限りなく高まった。
24年5月に東京ドームで防衛に成功。2年ぶりの大舞台にはさらに大きくなった背中で現れ、憧れの存在を倒して王座を死守した。兄・尚弥に最高のバトンをつないだ世界王者。「自分はまだまだこんなもんじゃないことを証明したい。(いずれは)統一戦をやりたい。井上尚弥の弟じゃなく、井上拓真だというのをしっかりアピールしていきたい」。伝説を残し続ける。
◆井上 拓真(いのうえ・たくま)1995年12月26日生まれ。神奈川県出身。綾瀬西高で高校総体優勝。13年12月プロデビュー。バンタム級で18年12月にWBC暫定王者となるも、翌年に正規王者に敗れた。23年4月にWBA世界王座を獲得して2度防衛し、24年10月に王座を失う。25年11月に那須川天心(帝拳)を下し、WBC王座に就いた。井上尚は兄。攻防兼備の右ボクサー。
