寺地拳四朗 “バム”との4団体統一戦遠のく世界戦中止 感情が抑えられず涙「気持ちの整理しても意味がない」
IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチに臨む予定だった元世界2階級制覇王者の寺地拳四朗(33)=BMB=は、王者ウィリバルド・ガルシア(36)=メキシコ=が26日の前日計量後に体調を崩したため試合が中止となった。急転直下の事態で日本勢史上8人目となる3階級制覇は霧散。世界3団体統一同級王者“バム”ことジェシー・ロドリゲス(25)=米国=との4団体統一戦のチャンスも遠のき、27日に現地で取材に応じた寺地は無念の涙を流した。
寝耳に水のドタキャン劇に、寺地はショックを隠せなかった。ビッグマッチにつながるチャンスに燃えていたものの、王者ガルシアが当日計量に向けた調整中に脱水症状に陥ったため、中止が決定。前日夜10時に陣営に一報が入り、11時に本人も知るところとなった。
寺地はサングラスで涙を隠しながら取材に応じたが、あふれる感情が抑えきれない。「ショックだが、ここで腐ってもしゃーない。練習したことも出せへんし、モヤモヤは残るが、落ち込んでもしゃーない。ポジティブではいたが、会場に来ちゃうと思いが出ちゃう。(気持ちの)整理とかいう問題ではない。整理しても意味がない」とタオルで顔を覆った。
7月にWBC、WBA世界フライ級統一王座から陥落。ただ、すぐに再起を決めてスーパーフライ級に転向し、日本勢史上8人目となる3階級制覇を目指した。王座を奪取すればロドリゲスとの4団体統一戦が実現する機運も高まり、「モチベーションは今までと違う」と燃えていたものの、不完全燃焼のまま決戦の地を去ることとなった。
ガルシアとはお互いに前日計量をクリアし、握手を交わしていたが、その数時間後には試合が消滅。世界戦中止を受け、大会を主催するサウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アラルシク長官が代替の対戦相手を2人リストアップしたものの、前日計量も経てないとあって、サポートする加藤健太トレーナーは「気持ちはありがたく受け取ったが、試合するのは現実的には不可能。計量をしてない選手とやるのはルール的にあり得ない」と説明した。
来年1月には34歳となるだけに残された時間は決して長くない。戦わずしてキャリア最大のビッグチャンスが消えて、感情の置き場はない。「(次戦が)決まれば全然早めでもいい。僕らが決められることではないので待つだけ。しゃーないとしか言いようがない」。明るいキャラクターで知られるファイターは、か細い声を絞り出した。
◆寺地 拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年1月6日、京都府城陽市出身。奈良朱雀高、関大を経て、2014年8月にプロデビュー。17年5月にWBC世界ライトフライ級王座に就いた。21年9月に9度目の防衛に失敗し、22年3月に返り咲き。22年11月にWBA世界同級タイトルも獲得。24年10月にWBC世界フライ級王座を奪って2階級制覇し、25年3月にWBAとの2団体王座統一。名前は漫画「北斗の拳」の主人公に由来。身長164センチ。右ボクサーファイター。





