堤聖也 ドネア撃破で大逆転V2 4回ダウン寸前もド根性!井上拓真らに統一戦ラブコール 井岡一翔戦にも意欲

 「ボクシング・WBA世界バンタム級王座統一戦」(17日、両国国技館)

 WBA世界バンタム級は正規王者の堤聖也(29)=角海老宝石=が、世界5階級制覇の実績を持つ暫定王者のノニト・ドネア(43)=フィリピン=を2-1の判定で下し、団体内王座統一を果たした。王座防衛は2度目。世界ライトフライ級2団体王座統一戦は、WBA王者の高見亨介(23)=帝拳=が、WBO王者のレネ・サンティアゴ(プエルトリコ)に1-2の判定で敗れ、王座から陥落した。WBO世界フライ級タイトルマッチは、挑戦者の桑原拓(30)=大橋=が王者のアンソニー・オラスクアガ(米国)に4回TKOで敗れ、王座奪取に失敗した。

 泥くさく伝説を打ち砕いた。堤は5階級制覇王者と真っ向から打ち合い、鼻から鮮血を流しながらも最後に勝ち名乗りを受けた。「本物をぶっ飛ばした極上のバッタモン堤聖也です。今ボクシング界はスターぞろいで僕は目立った強さはないが、積み重ねてきたもの、心に持つピストルを信じて、もっと強いボクサーを目指します」。高らかに宣言した大衆的な王者は大喝采を浴びた。

 右袖に「重岡優大」「重岡銀次朗」と名前が入った黒いガウンを着て入場した。同じ熊本出身で、今年5月の試合の事故で開頭手術を受けた弟・銀次朗とサポートするために引退した兄・優大の思いを背負った。「こいつらを近くに感じていたかった。勝手に入れさせてもらった」。

 死闘を乗り越えてきたからこその胆力があった。昨年10月に井上拓真(大橋)から王座を奪取し、今年2月には比嘉大吾(志成)とドロー決着で初防衛。両目の手術を経て43歳のレジェンド王者と拳を交えたが、真価を示すのには格好の強敵だった。

 4回は強烈な右を2発食らってぐらつくシーンもあったが、劣勢でも集中力を切らさずチャンスをうかがい、持ち味のスタミナと執念で後半挽回。12回まで攻め手を緩めず前進し、左フックでダウン寸前まで追い詰めた。判定は割れたものの死守し「ギリギリでした。ドネア選手めっちゃ強かった。負けの流れだったが、『頑張れ頑張れ俺』と何度も言い聞かせた。終わってみれば楽しかった」と汗を拭った。

 今後の展望については、WBC王者・井上拓真らとの王座統一戦を目指しつつ、「スーパーフライ級からレジェンドが上がってきたので、ぜひ挑戦を受けたい」と元4階級制覇王者の井岡一翔(志成)戦にも意欲。名勝負続きの29歳がバンタム級戦線の中心に躍り出た。

 ◇堤 聖也(つつみ・せいや)1995年12月24日、熊本市出身。熊本・九州学院高で全国高校選抜に優勝し、平成国際大に進学。アマ戦績は84勝(40RSC)17敗。2018年3月プロデビュー。22年6月に日本バンタム級王座獲得。24年10月に井上拓真(大橋)を破り、WBA世界バンタム級王座を奪取。25年2月の初防衛後に目の手術を受けて一時、休養王者となった。身長166センチのスイッチヒッター。

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