井上拓真 無敗・天心止め1年1カ月ぶり奪還 「天心選手に勝てたこと。それが一番、大きな喜び」
「ボクシング・WBC世界バンタム級王座決定戦」(24日、トヨタアリーナ東京)
WBC世界バンタム級王座決定戦で、同級2位の井上拓真(29)=大橋=が、大一番を制して新王者になった。同級1位の那須川天心(27)=帝拳=に3-0で判定勝ちし、昨年10月に堤聖也(角海老宝石)に判定で敗れてWBA王座から陥落して以来、1年1カ月ぶりに世界タイトルを獲得。強打とスタミナで中盤以降、優位に進めて、世界王者に返り咲いた。
終了のゴングが鳴ると、勝利を確信した表情でグローブをたたいた。拓真が圧勝で王者に返り咲き。「ベルトが戻ってきたっていうよりは、天心選手に勝てたこと。それが一番、大きな喜び」。無敗の神童に初めて土をつけた。
拓真コールと天心コールが交錯するアリーナ。4回から一気に攻勢をかけた。華麗な身のこなしで攻撃をかわせば、さえ渡った右の強打を見舞う。それでも「スピードがあってうまい」天心との激しい打ち合いの一進一退の攻防は続いた。11回。あおりに奮い立ち、右アッパーで畳みかけた。12回までもつれ込んだ熱戦となったが、最後は生粋のボクサーに軍配が上がった。
勝負を終え、リング上では、天心と熱い言葉を交わした。「天心だから、俺もここまでやってこられた。ありがとうって」。WBA王者だった昨年10月、堤に敗れて迎えた1年1カ月ぶりの再起戦。セコンドについた4団体統一世界スーパーバンタム級王者の兄、尚弥の後押しもあって実現した一戦で「練習はうそをつかない」と再確認した。
「踏み台にはならない」と強い決意があった。ボクシングに殴り込みをかけてきた元キックボクサーの神童の快進撃を止めるべく、意思を持って走り込み合宿から仕上げのスパーリングまで取り組んできた。父・真吾トレーナーも「この試合に向けて拓真の限界を広げていった。それにしっかりついてきた。今後、もっと変化する」と明かした。親子二人三脚でつかんだ頂点でもあった。
チャンピオンベルトを手にした今、リベンジも受けて立つ構えだ。「向こうもまた上がってくるのも分かっている。(再戦を申し込まれたら)もちろんやる」。戻ってきた世界王者。この座を譲るつもりはない。
◇井上拓真(いのうえ・たくま)1995年12月26日、神奈川県座間市出身。兄は4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥。アマチュア戦績57戦52勝(14KO)5敗。2013年12月にプロデビュー。15年に東洋太平洋スーパーフライ級王座、18年にWBC暫定世界バンタム級王座、23年にWBA世界バンタム級王座を獲得。身長164センチ、リーチ164センチ。右ボクサーファイター。





