「ボクシング・ＷＢＣ＆ＩＢＦ世界バンタム級王座統一戦」（８日、有明コロシアム）

　ＷＢＣ世界バンタム級王者の中谷潤人（２７）＝Ｍ・Ｔ＝が、ＩＢＦ世界同級王者の西田凌佑（２８）＝六島＝との統一戦に臨み、６回終了後ＴＫＯ勝ちで王座統一を果たした。初回から全開で猛打を浴びせ、５回には西田が右目を大きく腫らした。６回終了後には、西田陣営が右肩の脱臼で棄権を申し出たため、ＴＫＯ決着となった。

　中谷は無慈悲な拳で、鉄壁の防御を誇るＩＢＦ王者をたたきつぶした。相手や観客の意表を突くように、初回のゴングと同時に突進し、フルスイングのフック、鉄鎚のような右アッパーの連打を浴びせかけた。５回には西田が右目を腫らし、試合途中に右肩を脱臼していたことが明らかになったが、中谷は狙い通りだったことを明かした。

　「１ラウンドからダメージを与えていくことはチームで決めていた。それを実行できて、（相手の）目の腫れや腕だったりとか、本当につぶしていくイメージで打っていたので、（ＴＫＯで）形になってよかった。ダメージは与えられていると外からも見て取れたので、そこまで長くはならないだろうと。顔に当てていくとなるとスピードが必要になるが、腕やあばらとか体に当てていくのは多少遅くても的確にダメージを与えるために、思いっきり強く打っていった。非情だが、勝つために腕を狙った」。覚悟を持って立ち向かってきた相手に敬意を持って粉砕し、「西田選手と戦うことで成長できた。すごく重みのあるベルト」と実感を込めた。

　リングサイドには、来春対戦計画のある４団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥（大橋）も熱視線を送っていた。ドリームマッチに備え、早期の階級変更も視野に入れる新統一王者は「もうすぐ行くので、待っていてください」と高らかに宣言した。