重岡銀次朗は「急性硬膜下血腫」で緊急開頭手術 事故予見困難も…JBC安河内氏は沈痛「結果は重い、受け止めるしかない」
日本ボクシングコミッション(JBC)は27日、24日にインテックス大阪で開催されたIBF世界ミニマム級タイトルマッチで敗れた後、意識を失って救急搬送された前王者の重岡銀次朗(25)=ワタナベ=について「急性硬膜下血腫」と診断され、試合直後に緊急の開頭手術を受けたと発表した。現在も大阪市内の病院で入院しており、麻酔で眠っている状態で経過観察中だという。JBCの安河内剛本部事務局長(64)が都内で取材に応じ「(重岡の)無事を祈るしかない」と沈痛な面持ちで語ったが、ダウンシーンもなく一見してストップをかけるタイミングもない試合展開だっただけに「(判断の)難しさを感じる」と肩を落とした。
重岡は王者ペドロ・タドゥラン(フィリピン)との再戦で12ラウンドを戦い抜いたものの、1-2の判定で敗れた。判定を聞いた後、コーナーの椅子に座り込んで動けなくなり、兄・優大(ワタナベ)らの呼びかけにも反応しないなど意識を消失。担架に乗せられてリングを降り、救急車で病院に向かった。
安河内氏によれば、重岡は判定後にコーナーに戻って以降、目をつぶって呼びかけに反応せず、体が斜めに傾くなどの異変がみられた。その場で意識を失ってからは会話ができておらず、現在も集中治療室(ICU)にいるという。詳しい容態が判明するには1週間ほどかかる見通しで「朗報を期待しているが、時間がかかるかもしれない」と話した。
ただ、試合はダウンシーンもない展開だっただけに「原因が分かりづらい試合だった」と安河内氏。コミッションドクターもリング上に目を光らせていたが、「共通した意見として、前回(24年7月の対戦)は打撃戦でダメージもあったが、今回は際立ったダメージがなかったと。猛烈な打撃戦というより、一般に行われるような(ポイントで競った)激戦だったし、重岡選手がうまく戦って大きなパンチをもらってなかったので、非常に(判断の)難しさを感じる」と吐露した。
日本ボクシング界では23年12月に行われた日本バンタム級タイトルマッチで判定負けした穴口一輝が試合後に意識不明となり、救急搬送されて右硬膜下血腫と診断された。開頭手術が行われたが、そのまま意識は戻らず、約1カ月後の24年2月2日、23歳の若さで帰らぬ人となった。
JBCとしても再発防止策を案じてきたが、またもリング上で重大事故が発生した。安河内氏は「原因が特定できない。当日計量でも(重岡は)非常に落ち着いた様子だったので」と未然に予見することは困難だったとしながらも、「僕らは(実際に起きた)結果を受け止めるしかない。硬膜下血腫で緊急手術をした結果は非常に重い」と神妙な面持ちで受け止めた。今後も世界戦興行が立て続けに予定されているだけに「今日も(後楽園ホールで)試合があるし、どんどん続いていくので、一つのミスも許されないという形でやるしかない」と声を絞り出し、今回の試合進行役にヒアリングをする見通しで「誰にでも起こりうると覚悟しないといけない。(再発防止には)抜本的な改革が必要かもしれない」と話した。





