ボクシングで４団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥（３１）＝大橋＝が３１日、都内で行われた２０２４年度の年間表彰式に出席。スピーチ中に壇上で同席していたＷＢＣ世界バンタム級王者の中谷潤人（２７）＝Ｍ．Ｔ＝に対し、「１年後の東京ドームで日本ボクシングを盛り上げよう」と対戦を直接呼びかけ、中谷も「やりましょう」と呼応して握手する一幕があった。

　尚弥のサプライズ対戦要求に会場は騒然となった。壇上であいさつした尚弥は「ファン、関係者の方々から多く声が上がっている国内ビッグマッチに向けて、今年はベストを尽くしていきたい」と待望される中谷戦に言及すると、急に中谷が座っている壇上後方を振り返り、「中谷くん、１年後にここ東京ドームで、日本ボクシングを盛り上げよう」と対戦を要求。会場にどよめきが走る中、中谷も「ぜひ、やりましょう」と立ち上がり、握手をかわした。

　夢想してきたビッグマッチが現実味を帯びてきたことを受け、中谷は「今日（井上尚弥戦を）よりイメージするようになった。これから先、一戦一戦がより大事になってくると気が引き締まった」と感慨深げ。“思い人”からの壇上での対戦要求に「井上選手もこういう試合を望んでくれているんだなと直に感じることができたし、これからより（井上尚弥戦を）イメージをしてトレーニングしていかないといけないと気合が入った。お互いが（同じ空間に）いるタイミングもなかなかないし、井上選手からそういう言葉を発していただいて、こういう（対戦実現の）ムードになっているのでより気合が入る」と発奮した。

　現在バンタム級では４戦全てＫＯ勝ちと圧倒的な強さを誇示している中谷は、尚弥同様、２月の防衛戦を含めて年４試合を行う意向を明かした。強敵に勝ち続けて価値を上げることがドリームマッチへの道となるが、「（バンタム級で）統一戦はしたい。それができれば、もう上（の階級）に上げていいかなという気持ちでいる。（スーパーバンタム級で１試合）挟んだ方がベストな形で井上選手と戦えると思うので」と来春までの計画を明かし、「井上選手との戦いに向けて一戦一戦、皆さんに期待してもらえるファイトをしていく。ノックアウト、（愛称の）ビッグバンをさく裂させていきたい」と声を弾ませた。