元アマ世界王者の坪井智也がプロデビュー戦で衝撃の2回TKO勝利「楽しかった」 客席からの「つまんねー!」の声でスイッチ入る
「ボクシング・8回戦」(13日、両国国技館)
アマチュアの世界選手権で日本勢初の金メダルを獲得した坪井智也(帝拳)がプロデビュー戦に臨み、ブーンルエン・ファヨン(タイ)に2回2分34秒TKO勝ちを収めた。
1回は両者様子見。しかし、2回には客席から「つまんねー!」とゲキが飛ぶと、坪井のスイッチが入った。序盤に顔面へ強打を食らわせダウンを奪取。その後も左右の連打で攻めた。
試合直後のリング上でのインタビューでは「楽しかった。今までアマチュアで、日本でこんなお客さんが埋まるような場所でボクシングをしたことがなかったので。ありがとうございました」とファンの声援に感謝した。
アマチュア時代は日大、自衛隊とエリート街道を歩んだものの、東京五輪、パリ五輪と出場を逃し、大きな目標を失った。人知れず第一線を退き後進の指導にあたっていたが、昨年10月に堤聖也(角海老宝石)がWBA世界バンタム級王者(当時)の井上拓真に挑戦するにあたり、スパーリングパートナーを依頼されたことで、本格的にトレーニングを再開。「まだまだ自分もできる。ボクシングをやりたい」。拳を交える中で再び闘志に火が付き、妻にも理解を得た上で昨年末で自衛隊を退職した。
同じ1995年度生まれでは、堤、井上拓真、ユーリ阿久井政悟、岩田翔吉らが世界王座に輝き、まぶしく映っていた。「自分もアマチュアボクシングに人生を懸けてきたが、(同世代が)頑張っている姿を見て、まだまだ頑張りたいという気持ちでプロに転向した」。将来的にスーパーフライ級での戦いを想定し、「最短で早く世界王者になれるように頑張っていきたい」と挑んだ試合で、圧倒的な強さを見せつけた。