「ボクシング・１０回戦」（２４日、有明アリーナ）

　ＷＢＯアジア・パシフィック・バンタム級王者の那須川天心（２６）＝帝拳＝とノンタイトルマッチを戦う、前ＷＢＯ世界同級王者ジェーソン・モロニー（３４）＝オーストラリア＝が１８日、都内で公開練習を行った。ボクシング転向６戦目で世界を見据えた大一番に臨む天心に対し、２７勝（１９ＫＯ）３敗のキャリアを誇るモロニーは「この挑戦をするには、彼はまだ早すぎたと分からせてあげたい」と忠告した。

　モロニーは９カ月前まで世界王座を手にしていたプライドを誇示した。天心に対し「スピードもあり、いい目を持っていて、大変優れた運動能力がある選手。たくさん（ＳＮＳ等の）フォロワーがいて人気もある」と認めつつ、世界を見据えるには時期尚早と強調。「プロ６戦目で元世界王者と戦うのは彼にとって大きなチャレンジだ。（この試合を）受けたことは心の強さを感じるが、自分は正しく戦い、正しく勝って天心の上に立つ。この挑戦はまだ彼には早すぎたと分からせる」と突き放した。

　自身はプロキャリア３０戦で、敗れたのはエマヌエル・ロドリゲス（プエルトリコ）、井上尚弥、武居由樹（ともに大橋）と世界王者３人だけ。踏んできた場数も経験値も大きな差があり、「自分と天心に違いがあるとすれば志、気持ちの強さ。天心より勝ちたい気持ちが強い」と言い切った。

　昨年５月、武居に惜敗しベルトを失ってからの再起戦で、苦手のサウスポー対策も万全だと強調。「今、頭にあるのは天心を倒すこと（だけ）。また王者に戻るチャンスを得るために越えないといけない通過点。どんな方法でも勝つ。もちろんＫＯしたいが、（判定でも）勝つ自信はある」と不退転の覚悟を示した。

　公開練習はシャドーを１ラウンド軽く披露して終了。視察した天心陣営の粟生隆寛トレーナーは「（動きも発言も）全て想定の範囲内」とうなずき、「（モロニーは）総合力が高い選手なので、（天心が）１０ラウンドでどう（戦術を）遂行できるか。どこまで成長した姿を見せられるか楽しみ」と勝算を見いだしていた。