代役挑戦者・金芸俊は衝撃KO負けに号泣 「来い」直後に井上尚弥の右でダウン→悶絶でタオル投入 17年6カ月ぶりの韓国人王者誕生ならず
「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(24日、有明アリーナ)
WBO同級11位の挑戦者、金芸俊(32)=韓国=は、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31)=大橋=に4回2分25秒KO負け。試合後はコーナーに頭をつけ、号泣した。
1回は両者慎重な立ち上がり。2回は井上のパンチに金がコーナーに追い詰められる場面もあったが、左ストレートを繰り出すなどして応戦した。ただ、2回が終わった時点で左目下が黒ずみ、ダメージを感じさせた。
3回、井上のパンチをもらった直後、グローブで「来い」のジェスチャー。しぶとく井上に食らいついたが、4回、井上のボディーから動きが止まった。それでも、自分のあごを指し、再び「来い」のジェスチャー。直後にそのあごに右ストレートを食らい、ダウンした。両膝をついたままもん絶すると、セコンドからタオルが投げ込まれて決着。敗戦に涙が止まらず、悔しさを隠せなかった。
金は「来い」とジェスチャーした理由について、「私の戦略としては井上選手が私に近づいて、近づいてきた後に私がパンチを打ちたかった」と説明。井上は「速くて強い」とし、対戦を受けたことに「負けたので後悔しています。半分冗談、半分本音です」と苦笑いした。
「トラブルメーカー」の異名を持つ金はこれまで対日本人7戦全勝の「日本人キラー」。昨年12月24日に戦う予定だったサム・グッドマン(オーストラリア)の2度にわたる左目負傷により1カ月延期となった上で、試合13日前に挑戦者変更で、金に白羽の矢が立った。
韓国にとっては、WBC世界フェザー級王者だった池仁珍が07年7月に負傷により王座剥奪されて以来、17年6カ月ぶりの王座誕生の期待がかかった。世界戦での「日韓戦」は13年11月のWBA世界バンタム級王座戦で王者亀田興毅-挑戦者孫正五戦以来、11年2カ月ぶり。当時は亀田が判定で防衛に成功した。
井上はリング上のインタビューで「急きょ対戦を受けてくれた金選手ありがとうございました」と感謝。金が退場の際にはインタビューを止め、会場から拍手が送られた。