武藤完全燃焼「最高に幸せでした」 最後は蝶野と指名試合 38年4カ月の現役生活に幕

 引退試合を終えて観衆に手を振る武藤敬司
 蝶野(中央)と抱き合う武藤(撮影・棚橋慶太)
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 「KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~」(21日、東京ドーム)

 プロレス界のスーパースター・武藤敬司(60)が、新日本の内藤哲也(40)との引退試合に臨み、38年4カ月の現役生活に終止符を打った。最後はディスティーノを浴びて敗れた。その後、ゲスト解説で訪れていた「闘魂三銃士」の蝶野正洋(59)を指名し、必殺技のSTFを決められてダブルヘッダーで敗戦。両太もも裏肉離れで体がボロボロの状態の中、完全燃焼した。

 限界を超えてもなお、リングに立ち続け完全燃焼した。引退試合は異例のダブルヘッダーとなり、内藤、蝶野を相手に2連敗し、38年4カ月の現役生活に終止符を打った。両太もも裏、腰の痛みに耐えながら自力で花道を歩く。万雷の武藤コールを背に、手を振ってリングに別れを告げた。

 最後の最後で武藤信者を喜ばせるサプライズが待っていた。1試合目は内藤にデスティーノを決められ、敗れた。起き上がるや「39年のプロレス人生最高に幸せでした」と話した後、再び闘争本能にスイッチが入った。

 「まだ、灰になってねえや。蝶野、俺と戦え!」。リングサイドで解説をする闘魂三銃士の盟友、蝶野を対戦相手に指名。しかし、1試合目で力を出し切り、もう、余力はなかった。ジャケットを脱いだ蝶野のケンカキックを受けると、最後は必殺技のSTFを決められギブアップ。「悲しくもなんともないや。ここまでの道のりがしんどかったからな。やっと終わったという感じ。本当に俺は幸せなプロレス生活を送れたよ」。晴れやかに振り返った。

 昭和、平成、令和と駆け抜けたプロレス人生。1試合目の内藤戦は、武藤の集大成が凝縮された試合と言っていい。自身の決め技のドラゴンスクリューに、四の字固めで痛めつけた。闘魂三銃士の盟友、橋本真也さんに捧げるように袈裟斬りチョップから、DDTを決めると、三沢光晴さんのエメラルドフロウジョンで畳みかけ、シャイニングウィザードを決めた。往年の選手の思いを背負って戦った。

 ただ、体は正直だ。倒れ込んだ内藤へとどめを刺せなかったのも事実。トップロープに足をかけ、ムーンサルトプレスを決められるシーンは2度訪れたが、いずれもためらった。

 「家族の顔とか、医者の顔が浮かんでね。みんな怒ってるんだよ。それが出てきて、躊躇しちゃったよ」。1月22日。化身のグレート・ムタとしてのラストマッチで、全力で戦い、両ハムストリングの肉離れを発症。翌日の診察で全治6週間と診断された。痛み止め注射を打っての強行出場。18年に両膝の人工関節置き換え手術後、股関節も痛め満身創痍の現状で出せる技は精いっぱい出し切った。

 84年。21歳で新日本プロレスに入門してから、師匠のアントニオ猪木さんに「一度も褒められたことがない」男は最後に言った。「猪木プロレスの終焉(しゅうえん)と俺も思うし、今から新しいプロレスが生まれてくると思う」。新世代のスター誕生を願った武藤。最後は「普通のおじさんになりたい。自分で歩いて活動できるくらいになりたいな」と第2の人生のプランを立てた。

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