元世界王者の久保隼が1年4カ月ぶり復帰戦勝利も涙「思い描くボクシングができなかった」
「ボクシング・8回戦」(26日、神戸市立中央体育館)
元WBA世界スーパーバンタム級王者・久保隼(30)=真正=が、1年4カ月ぶりの復帰戦で五十嵐嵩視=トコナメ=と58・0キロ契約8回戦を行い、3-0判定で完勝した。鋭い左ストレートで相手を追い詰める場面もあったが、久保はリング上で「求められる内容に、はるかに及ばなかったことは理解しています」と納得できない様子で涙を見せた。
昨年5月に世界2階級制覇に失敗し、一時は引退も視野に入れた。昨年7月に母校(京都広学館高、東洋大)の先輩、WBA世界ミドル級王者の村田諒太(帝拳)が王座に返り咲き、「自分ももう一度リングに立ちたいと思った」と言う。しかし、練習再開までには時間を要した。
転機となったのは昨年10月。「社会勉強のために」と、神戸市内の特別養護老人ホームで派遣社員として働き始めた。そこでボクサーであることを明かしていなかった久保に、ある同僚が「元世界王者でしょ?」と声をかけ、サインを求めた。自己肯定できなくなっていた時期に、応援してくれる人のありがたみを感じた。「ちょっとは自分を認めなあかんと思った」。山下正人会長に復帰の意志を告げ、12月に練習を再開した。
1年4カ月ぶりのリングは「ボクシング人生で一番調整がよかった」と手応えを持って臨んでいた。それだけに「思い描くボクシングができなかったことへのふがいなさ」が試合後の涙につながった。今後はフェザー級で「いずれは世界に行きたい」。ただ、初挑戦で初戴冠した時とは違い、頂への道は容易ではないこともわかっている。「まず国内でやりたい選手がいる。勝ってからの話です」と着実に歩を進めていくつもりだ。




