比嘉大吾「ごめんなさい」 減量失敗響き9回TKO初黒星 連続KO勝利記録も夢散

 「ボクシング・WBC世界フライ級タイトルマッチ」(15日、横浜アリーナ)

 体重超過のためWBC世界フライ級王座を剥奪された比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=は同級2位クリストファー・ロサレス(23)=ニカラグア=に9回1分14秒TKOで敗れた。プロ初黒星を喫し、16試合連続KO勝利の日本新記録達成もならず。試合後は涙を流し、「ごめんなさい」と何度も繰り返した。ロサレスが空位の王座を獲得し、新王者となった。

 偉業達成を目前にして、比嘉が無残に散った。9回途中に具志堅会長の判断で陣営が棄権を申し出た。日本新記録となる16戦連続KOの夢は破れ、プロ16戦目で初めて敗者としてリングを下りた。涙に暮れた比嘉は野木トレーナーに肩を抱かれ医務室に直行。憔悴(しょうすい)しきった表情で控室に戻り、体を横たえた。

 日本人として初めて世界戦での体重超過で王座をはく奪され“前王者”として臨んだ一戦。減量苦の影響を払拭(ふっしょく)することはできなかった。序盤から挑戦者に手数で上回られた。中盤以降は足を止めて打ち合うが、時折繰り出す有効打も力が乗らない。8回終了後の公開採点で0-2とリードされた時点で、逆転はほぼ不可能となった。

 贖罪(しょくざい)の思いだけだった。当日計量を乗り切り、試合成立にこぎ着けた際に「世界チャンピオンにもかかわらず計量オーバーしてしまいすみません。ロサレス陣営にも申し訳ない」と謝罪。具志堅会長は試合中止も考えたというが、最後は自らの意思でリングに上がった。

 試合後、比嘉は取材に応じることはなかったが、点滴投与のため自力歩行で病院に向かう際には「今は何も出てこないです。また改めて」と声を絞り出し、「ごめんなさい」と何度も繰り返した。

 もはやフライ級にとどまることは限界に達した。連続KOの強打を支えた規格外の筋肉はもろ刃の剣となり、最後は自身を傷付けた。王座も記録も失ったが、まだ22歳と若い。汚名をすすぐ機会は十分残されている。

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