【長谷川穂積の拳心論】京口が唯一引き継がなかった“辰吉イズム”

 「ボクシング・IBF世界ミニマム級タイトルマッチ」(23日、大田区総合体育館)

 同級9位・京口紘人(23)=ワタナベ=が王者ホセ・アルグメド(メキシコ)を3-0の判定で破り、日本選手で最速となるデビューから1年3カ月で世界王座を獲得した。日本ジム所属の男子世界王者は史上最多に並ぶ12人となった。

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 【長谷川穂積の拳心論】

 初挑戦の京口君は、あれだけの強打者をまったく恐れない冷静さがありました。打ち合いでは相手と足腰の強さの差が歴然で、下半身をよく鍛えていることもわかりました。

 土台にはパンチを避けて打つ、一緒に打つなどアマ出身らしいしっかりした技術があります。ガードは両こめかみの位置から最後までまったく下がりませんが、あれは今回のために練習しただけではできません。ボクシングを始めた時から、徹底してたたき込まれたものでしょう。

 強い左ボディーは“辰吉イズム”と呼ばれますが、イズムを唯一引き継がなかったのはその堅いガードです。カードを下げるスタイルは辰吉さんだからできる世界。京口君がそれを理解していたことも大きな勝因だと思います。

 田口君は気持ち、スタミナ、コンビネーションも的確ですばらしい試合でした。この階級には日本人王者が3人(田口、田中、拳四朗=WBC)がいます。田中君はスピード、テクニック、手数とすべてそろった選手で僕は彼が抜けていると考えていました。

 でも、今回の田口君なら「強(つよ)かわいい」というニックネームより「強強(つよつよ)い」と言っていい。日本人統一戦が実現し、王座の価値が高まることを期待します。

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