【回答者・前川清】「おかしい」と思うなら人間として普通

 【聞きます】人の死を悲しめないのは、おかしいのでしょうか。先日、高校時代の仲間と会う機会があり、恩師が死去していたことを知りました。みんな悲しんでいましたが、私はあまり悲しみが湧きませんでした。振り返れば、中学時代に身近にいた先輩、祖父祖母が死去した時も同じ感じでした。将来、自分の両親が亡くなった時も悲しめないのか、と思ってしまいます。同じ長崎出身の先輩、前川さん、こんな私はどうなのでしょうか。(20代、女子)

 【答えます】結論から言えば、あなたはおかしくないですよ。まだ20代ですね。こういうことは年齢を重ねていくうちに変わっていくものだと思います。

 あくまで自分の経験ですが、死の悲しみは20代と50、60、70代と変わっていきました。年齢を重ねるにつれて悲しみはどんどん深くなるのです。なぜかと言えば、その悲しみが自分に置き換えて考えられ、とても身近なもので現実的になってくるからです。

 自分のような年齢(70歳)になると、自分の死というものが、どんどん近づいていきます。同時に自分の死に対する覚悟も出てきます。そして、親や親戚、友人と死に接することが多くなります。そのたびに自分と置き換えていろいろな思いがこみ上げて、身近に考えられるから悲しみが大きくなるのだと思います。

 自分も20代のころを振り返ってみると、身近な方の死に接しました。悲しいのだけどどこか現実的でなく受け入れられない感じでした。あなたと同じかもしれませんね。

 そもそも、本当におかしい人は、自分でおかしいと思わないです。あなたが「悲しめない!」ことで、自分がおかしいと思うのなら、それは「おかしいこと」でなく、人間としては普通なんじゃないかなと思います。

 ですから、親の死を悲しめないのか?という心配も無用です。そんなことを思わず、今は両親が元気なうちにしっかり親孝行し、大事にしてあげてください。

  ◇  ◇

 前川 清(まえかわ・きよし)長崎県出身、70歳。「内山田洋とクール・ファイブ」のリードボーカルとして、69年「長崎は今日も雨だった」でメジャーデビュー。「そして、神戸」「東京砂漠」などヒット曲多数。個性あふれる語り口でテレビ、ラジオ番組でも活躍中。

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