「上方漫才コンテスト」でピン芸人が優勝 そろそろ名前を変える時期?

 関西若手漫才師No.1を決める「第47回NHK上方漫才コンテスト」が2月24日に行われ、ゆりやんレトリィバァが優勝した。ピン芸人の優勝は男女を通じて大会初。主要な賞レースでも女性が優勝することは稀で、まさに快挙。その一方でコンテスト名が「漫才」と銘打っているため、ネットでは「漫才なのにピン芸人が優勝?」といった声も上がっていた。だが審査員をつとめたハイヒール・リンゴは「漫才ではなく、お笑いのコンテスト」と位置づけ、ゆりやんの才能を高く評価。勢いよく伸び盛りの後輩にエールを送った。

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 ゆりやんレトリィバァがNHKの上方漫才コンテストで優勝しました。私も審査員をやらせてもらっていたんだけど、ゆりやんとプリマ旦那が決勝に残り、もうどちらが優勝してもおかしくなかった。5分の持ち時間で、ゆりやんは冒頭の1分半くらいほとんどしゃべらず、表情と体の表現で見せてきた。もったいないという言い方もあるし、贅沢やという言い方もあるし、戦略的やという言い方もある。一方のプリマ旦那は5分かっちりの漫才。どんだけ作りこんできたんやと。発想のゆりやん、技のプリマ旦那でしたね。

 でも「漫才」と銘打ったコンテストで優勝したのが、ゆりやんという女のピン芸人だったということで、違う見方をされたというか。ピン芸人が「漫才コンテスト」で優勝してもいいのかという話ですけど、さかのぼると2003年に友近も優秀賞もらってるんですよ。そのときにその論争が起きなくて、なんでいまその論争が起きるのかなあ。

 それに本選にはゆりやんだけじゃなく、ZAZYという男のピン芸人も残ってた。それはどういうことかというと、名前として「漫才コンテスト」だけど、実態は漫才に限定しない「お笑いコンテスト」だと私は認識してる。でも見てる方は「“漫才”なのに“ピン芸人”が優勝かい!」という違和感があったかもしれませんよね。でもピン芸人のエントリーを受け付け、最終に残したということは、主催者も「漫才」ではなく、「お笑い」のコンテストの思いがあったから。みんなの意識も変えていくのも大事ですよね。

 実際、昔と今では審査内容も変わっている。私らも昔、出させてもらったんですけど、そのころは「課題漫才」と自分のネタの「フリー漫才」があった。「課題」の方は出場者が全員同じ漫才で、アレンジ力とかを審査される。「フリー」の方にも時間制限があって、そのなかでいつもの自分のネタを披露するんです。フィギュアスケートみたいなもんですよね。だからそのころは文字通り漫才のコンテストでした。

 でも今はコントの形式の子もいるし、「漫才」という言葉を外すときじゃないかな。NHKさんも「上方“お笑い”コンテスト」に名前変えたらええんちゃうんと思うんですよ。特にコントやってる子は大阪の劇場に出るのが難しい。なんばグランド花月(大阪市)は800人超のキャパあるし、そんな大きさの劇場で小道具を使うコントは見せにくい。小さい劇場もあるけど、芸人が最後に目指すのはやっぱりなんばグランド花月。だからコントを育てる意味でも間口を広げてもらいたいんですよ。コンテストの名前と実態が合っていないというのも、お笑い界全体を底上げしているときのうれしい悩みやと思う。だからいつまでも漫才というタイトルにこだわらなくてもいいんじゃないかな。

 女のピン芸人は「R-1ぐらんぷり」の第1回大会でだいたひかるちゃんが優勝して、友近がいて、そしていまはゆりやんが角度つけて上昇、出てきてます。ダウンタウンとかもそうだったけど、角度つけて出てきた子たちを見てきたけど、行くときは行かなあかん。私ももちろん応援する。頑張ってもらいたい。もっともいまダウンタウンを例に挙げたけど、彼らのときの角度はもう別格。お笑い芸人が売れていくのを、あれだけあからさまに見たことはない。うらやましいというより、当然やろなって思いで見てました(笑)。

 ちなみにゆりやんは吉本興業の芸人養成所であるNSC出身。でもNSCはあまりに人が多すぎて粒が立ちにくく、まずその中で競争に勝たないといけない。ゆりやんはそのNSCの首席卒業で、もともと才能あるのは認められていた子なんです。「上方漫才コンテスト」の決勝で見せたような、英語からの変換ネタも聞きやすく、ネイティブに発音できて、それも武器です。顔も見慣れてきて可愛い。

 いま女の芸人がてんこ盛りになってきた事は、ええことやと思います。ゆりやんや友近は女だからというじゃなくて、ネタの力で出てきてる。ネタの力はテクニックだけじゃカバーできない。そういう意味で、女芸人も底上げされてるんです。刺激を受けて私らも頑張れる。

 そんな彼女らの問題は…どうやって彼氏を作るかです。そちらはまだまだです(笑)。

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【女芸人大祭りvol.7】

3月21日 21時開演

東京・ヨシモト∞ホール

出演者 MC:ハイヒール・リンゴ/尼神インター/ゆりやんレトリィバァ/ガンバレルーヤ/紅しょうが/おかずクラブ/スパイク/TEAM BANANAほか

ゲスト:千原せいじ/ココリコ・遠藤章造

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