【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】柔軟さこそが、これからの時代をしなやかに生きる力になる

 にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。

 【相談】 ヨガを愛する48歳サラリーマンです。深い呼吸とともに体を動かすと心身がとてもリラックスしますし、また情報過多な現代において、ヨガの「自分自身と向き合い、他人と比べない」という教えには、精神的に大きく救われております。一方で、仕事では正反対の現実に直面しています。同業他社の動向を徹底分析し「自社はどうなのか」を突き詰める日々です。ヨガが説く「非比較」の精神と、ビジネスにおける「競争・比較」という、日常のダブルスタンダード。生活するうえで、今後どう折り合いをつけていけば良いのか。圧倒的なバイタリティーで数々の事業を成功させてきた西村社長なら、この「心のギャップ」にどう向き合われますか。ぜひアドバイスをいただけますと幸いです。

 【回答】 ご相談ありがとうございます。ヨガを通じて「自分と向き合う時間」を持たれていること、とても素晴らしいことだと思います。48歳という年齢で、仕事だけではなく、自分の内面や心の状態にも意識を向けておられる。その姿勢そのものが、すでに大きな強さだと感じます。

 おっしゃる通り、ヨガの世界には「他人と比べない」「今の自分を受け入れる」という考え方があるようですね。一方で、ビジネスの世界は真逆です。他社分析をし、市場を見て、競争の中で勝ち残ることを求められる。そのギャップに違和感を抱くのは、とても自然なことです。

 ただ、私はこの二つは本質的には矛盾していないと思っています。なぜなら、ヨガが否定しているのは「他人と比べて自分の価値を決めること」であって、「現実を分析すること」ではないからです。

 ビジネスにおける比較は、本来「相手より上か下か」で自分の価値を測るためではなく、「市場の中で自分たちは何を磨くべきか」を知るために行うものです。そこを履き違えると、常に誰かと比較して苦しくなります。しかし、「改善のための比較」だと捉えると、心のあり方は大きく変わります。

 私自身も、経営者として競争の世界に長く身を置いてきました。常に他社を見ていますし、市場の変化にも敏感でなければなりません。ただ一方で、「他社と同じになること」は目指していません。結局、最後に残るのは“自分たちらしさ”だからです。

 ヨガでも、無理に他人と同じポーズを取ろうとすると体を痛めることはないでしょうか?ビジネスも同じです。他社の成功をそのまままねしても、自社に合わなければ続きません。比較はする。でも自分の軸は失わない。そのバランスが大事なのだと思います。

 また、情報過多の時代だからこそ、「比較し続ける疲れ」を抱えている人は非常に多いです。SNSを見れば誰かの成功が流れてきて、会社では数字や成果を求められる。だからこそ、ヨガの時間のように、「競争から一度降りる時間」を持つことには大きな意味があります。それは逃避ではなく心のメンテナンスです。

 私は、経営でも人生でも、「外を見る時間」と「内を見る時間」の両方が必要だと思っています。外だけを見続けると、自分を見失う。逆に内面だけを見続けると、現実との接点が薄くなる。その両方を行き来することで、人はバランスを保てるのではないでしょうか。

 ですから、無理にどちらかに統一しようとしなくていいと思います。仕事では現実を直視し、競争にも向き合う。一方で、自分の内面に戻る時間も持つ。その二つを行き来できていること自体、むしろ成熟した大人の姿だと私は感じます。

 ヨガによって得られる静けさは、競争社会を生き抜くための土台にもなります。外の世界が騒がしくなるほど、自分の呼吸に戻れる人は強い。あなたはすでに、その感覚を持っておられるのだと思います。

 これからも、無理に心の矛盾を消そうとせず、「両方あるのが人生だ」と受け止めてみてください。その柔軟さこそが、これからの時代をしなやかに生きる力になるはずです。

 ◆西村誠司(にしむら・せいじ)1970年生まれ、愛知県出身。「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万7000人。

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