【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】信用取引を始める前の心構えとは
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 株式投資をしています。瞬く間にといっていい早さで日経平均が5万円を突破しました。わたしは現金投資でコツコツやっていますが、友人が信用取引をやっており、レバレッジ効果でけっこうな利益を出したようです。信用取引は怖いのですが、現状のようなインフレ局面であれば、やってみようかと思うのですが西村社長はどのように思いますか?
【回答】 ご相談ありがとうございます。日経平均が5万円を突破し、「信用取引でレバレッジをかければ大きく利益を狙えるのでは」と考える気持ち、とてもよく理解できます。今のようなインフレ局面は株価が上がりやすいタイミングでもあり、周囲の成功例を聞くと心が揺れるのは自然なことです。しかし同時に、信用取引は株式投資の世界でもっとも慎重さが求められる領域でもあります。
まず私が強調したいのは「信用取引は利益を増やすスピードが早い一方で、資産を失うスピードも桁違いに早い」ということです。あなたのご友人が今回利益を出したのは、タイミングが良かっただけかもしれない。信用取引によって短期的に成功する人は大勢いますが、長期で生き残る人はごくわずかです。これは投資の世界では常識ともいえる現象です。
私自身、ビジネスではレバレッジをかけることがありますが、個人の資産運用では常に慎重で「生き残ること」を最優先にしています。なぜなら、投資における最大の武器は“時間”であり、信用取引はその時間を自分で壊してしまうリスクがあるからです。信用取引は、相場が順調なときは確かに強力ですが一度逆風が吹くと、想像以上のスピードで資産が目減りすることがあります。
では、信用取引を完全に否定するべきかといえば、そうではありません。ただし「やるべき人」と「やるべきではない人」がはっきり分かれます。もし挑戦するのであれば、失っても生活に1ミリも影響がない“遊び資金”だけで行うこと、そして何より「必ず損切りできる自制心」が不可欠です。信用取引で退場する人のほとんどは、損切りができなかった人です。
あなたのようにコツコツ現金で積み上げてきた方は慎重であることが大きな強みです。投資の世界では、勝つことより“退場しないこと”のほうが何倍も価値があります。インフレ局面とはいえ、現物投資で堅実に資産を積み上げるスタイルは決して間違っていません。むしろ信用取引に手を出した途端に、これまでの積み重ねが一瞬で崩れる可能性だってあるわけです。
最後に、株式投資には正解がありませんが、ひとつだけ確実に言えるのは「大きく勝つことより、長く続けることのほうがはるかに重要」だということです。信用取引は、あなたがその強みを失う可能性をはらんでいます。相場に煽られて決断するのではなく、“自分がどんな資産形成をしたいのか”という軸から判断してみてください。
応援しています。どんな選択であれ、あなたが後悔しない形で資産づくりを続けられることを願っています。
◆西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万6000人。



