梅毒はキスでも感染、第2期までに治療を 感染力は他の性病と比べて非常に強力

 梅毒は通常、性行為によって接触した粘膜や皮膚の小さな傷から侵入します。その感染力は他の性病と比べて非常に強く、1回の性交で感染する可能性は30%と脅威的です。また、咽頭や直腸など、性行為の方法によって性器以外の場所にも感染します。唇に病変がある場合は、キスでも感染します。感染者とのコップや箸の使い回し、傷のある皮膚を舐めても感染の可能性はあります。潜伏期間中でも感染します。梅毒の症状は、俗に「3週・3カ月・3年」と言われ、第1期・第2期・第3期のステージごとに、異なる病態を示しながら進行します。

 感染3週間後の「第1期」では、陰部・くちびる等の感染した部位に、小さなしこりや潰瘍ができ、少し遅れて股の付け根部分のリンパ節が腫れます。しかし、これらの症状は痛みや痒みがなく、放置しても2~3週間で消えてしまうため、「何かあったけど、自然に治った」と勘違いしたまま、あるいは感染に気付かないまま性交渉をして、知らず知らずのうちに感染拡大を引き起こします。唇に病変部分があれば、キスでも感染してしまう。だから、思わず見過ごしてしまいそうな「第1期」こそが最も危険な時期なのです。

 「第1期」の症状が消えた後、梅毒の病原体は全身に広がります。3カ月後の「第2期」では、顔や手足にピンク色の円形のあざが出来たり、「バラ疹」と言われる赤茶色の盛り上がったブツブツが全身に広がります。多くの患者さんは、この段階で慌てて病院に駆け込みますが、じんましんなどと紛らわしく、「百面相」とも呼ばれています。その後数日~数週間すると、発疹が消失して潜伏期に入ります。梅毒は、この「第2期」までに治療せねばなりません。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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