【谷光利昭医師】「何しに来たん?」90歳の女性への信じられない第一声

 「何しに来たん?」

 診察室に入り、着席した90歳の女性への医師の第一声だったそうです。肺の精密検査のために、その地域の中核病院に紹介で受診した際に言われたとか。

 患者さんは90歳ですが、頭脳も肉体も精神もしっかりしており、まだまだ元気な人です。紙の上の年齢だけ判断し、心ない言葉をかけたその医師に対して開いた口が塞がりません。

 我々医師は、カルテの情報だけで患者さんを把握するのではなく、診察室に入るときの歩行、着席時の姿勢、息遣い、言葉遣い、動作のスピード、会話の成立度さらには、食生活、家族構成、友人関係…必要であれば、もっと多くの情報を踏まえて診察、治療に臨まなければなりません。

 ただ、中核病院の医師の外来は非常に多忙です。理想の診察を望んでも時間の余裕がなくできないケースがあります。私も然りです。理想の診察をすれば、外来は24時間以上かかるでしょう。しかし、初診でいきなり「何しに来たん?」はあまりにも常識外れです。女性の話だけをうかがっての感想ですが、このような医師が存在するなら非常に残念に思います。

 当院は昨年まで中核病院からの研修医を受け入れて実習の手伝いを行っていました。多くの医師は私が見習うべき素晴らしい態度で実習を受けておられたことは明記しなければなりませんが、研修医にも様々な人がいて、「先生、それはやめた方がいいのではないですか」とアドバイスしたこともありました。20年前の私なら体育館の裏に連れて行き説教してやろかと思う医師もいました(笑)。

 そういうお前はどうなんや?という声が聞こえてきます。私が若い頃は、医師として、人として非常に未熟で先輩医師にこっぴどく怒られていました。今も日々反省している毎日…あしからず。

 ◆谷光 利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。

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