【サッカー】なぜ?ブラジルから歴史的初勝利の日本代表 背景に「憧れるのをやめた」4万人のサポーターの進化 3年前の対戦から一変
サッカー日本代表が14日、3-2でブラジル代表から歴史的勝利を挙げた。王国との初対戦から36年、14度目の挑戦で手にした初白星。3年前の同国との対戦では防戦一方で敗れたが、今回は後半から主導権を握っての鮮やかな逆転劇だった。ただ、進化を遂げたのは代表だけではない。王国相手に、4万人以上の観衆がスタンドを青く染め上げた光景が、日本サッカー界の成長を表していた。
スタジアムのほぼ360度が日本の味方だった。黄色のブラジルサポーターが集まるブロックはゴール裏の一部のみ。ところどころにブラジルの国旗などが掲げられてはいたが、存在感は微々たるもの。国際試合のホームでは当たり前の光景に思えるかもしれないが、3年前の前回対戦は違っていた。
2022年6月6日、国立競技場での親善試合。代表戦では最多となる6万3638人の観衆が詰めかけた。約5カ月後にカタールW杯を控える中での一戦だったが、森保監督は「ほとんど黄色い中で戦った印象を持っています」と“アウェー”の雰囲気だったと振り返る。当時、GK権田も「日本人の方がブラジル代表のユニホーム着て、日本のホームで応援する状況になってしまった。僕らが日本サッカーをもっと発展させないといけない」と唇をかんだ。
裏付けると、観衆は日本の勝利よりもネイマールらスター軍団のプレーに関心が大きかった、ということかもしれない。あの悔しさから3年-観衆の選択について、森保監督は試合前日会見で「個々の価値観」と認めた上で、国民に覚悟をこう伝えた。
「勝負事としては青で染まる方が相手へのプレッシャー、選手のモチベーションになる。その雰囲気をつくっていくためにも、まだ(ブラジルに)0勝の日本じゃなく、勝って自然と“強い日本だから応援する”ということをわれわれは目指していく」
迎えた当日、冒頭の光景が選手たちを迎えた。日本のピンチになれば悲鳴が上がり、ゴールが決まると歓喜する。カナリア軍団相手に「憧れるのをやめた」日本サポーターが“今の日本なら勝てる”と声援を送った。自身が常々口にする「共闘」が体現された瞬間に、森保監督は「サポーターのみなさんがスタジアムを青色にして雰囲気をつくってくれた」と喜んだ。
今や海外のビッグクラブでプレーする選手も少なくない日本代表。目標を聞かれると、みな「W杯優勝」と口にそろえる。「“W杯優勝”って言わないと逆に取り残される集団になっている」と以前、意識の高さを語っていた堂安。国民にも本気でそう思わせるために、本大会開幕まで約8カ月、歴史的勝利に続くインパクトを見せていく。(デイリースポーツ・松田和城)





