【野球】阪神 新庄監督からにじんだ優しさ 後輩指揮官へ「それが正解」周囲へ「ボロクソ言わなくていい」阪神の特異性を知るからこその言葉

 「マイナビオールスターゲーム2025・第1戦、全パ5-1全セ」(23日、京セラドーム大阪)

 日本ハムの新庄剛志監督らしいエールの送り方だった。第1戦後、試合前練習で阪神・藤川球児監督との会話の内容を明かした指揮官。「結果がいいんでね。それが正解ですから」という言葉にプロ野球の真理、そして優しさが詰まっているように思う。

 現在、2位・DeNAに9・5ゲーム差をつけてセ・リーグ首位を快走している阪神。2位以下のチームはすべて勝率5割を切っており、独走状態と言っても過言ではない。

 しかし新庄監督は「いやいやそんな余裕ないですって。ないやろうね。タイガースで監督やっている以上は。もう10ゲーム離れていても、落ち着かないというか。25ぐらいまでいったらね、やっと落ち着ける」と評した。その上で「ちょっと顔が多少疲れていた。1年目というところでプレッシャーもあるだろうし、僕の1年目とはまったく違う立場なんで」と明かした。

 新庄監督も現役時代、阪神タイガースを取り巻く環境を肌で感じてきた。1997年に大阪ドームで行われたオールスター第1戦ではシーズン打率・217で出場。第1打席で三振し、ファンが応援ボイコット。スタンドに「そんな成績で出場するな 恥を知れ」の横断幕も掲げられた。

 結果が出なければ、負ければ、これでもかと批判が待ち受ける。常に甲子園が超満員になる阪神ファンの熱量。それを知るからこそ「もう優勝させないといけない立場なので。それはプレッシャーもあるだろうしね。采配とかもやっぱり球児らしい采配というか。失敗したらボロクソ言われますけど、言わなくてもいいと。結果がいいんでね。それが正解ですから」と背中を押した。

 今季の交流戦でもファンの心を揺さぶるような戦いを見せた両チーム。藤川監督も「非常に緊張感のある試合だった」と語り、試合前のエンターテイメントの部分を含めて「また日本ハムの新庄監督とね、対戦したい思いもある」と思いを明かしていた。

 勝利が最優先に求められるプロ野球監督という立場。実際に多くのファンの期待を背負って指揮を執った人間にしか、その思いは分からない。そして古巣の後輩を思いやる心。こんな言葉を発すことができるのは現在の球界を見渡しても、新庄監督しかいないだろう。(デイリースポーツ・重松健三)

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