【芸能】元日テレ関谷亜矢子アナが明かした長嶋さんへの感謝「嫌われそうなことをちゃんと言ってくれる」バスの隣で耳打ち

 関谷亜矢子さん
 日テレ時代の関谷亜矢子アナと長嶋茂雄氏
2枚

 元日本テレビアナウンサーで現在はフリーアナとして活動する関谷亜矢子さん(61)は、6月3日に亡くなった長嶋茂雄さんを折に触れて取材してきた。入社2年目に同局の「独占!!スポーツ情報」のキャスターに起用されたことをきっかけに女性アナの草分け的存在としてスポーツの現場取材を開始。巨人監督として二度目のユニホームを着た長嶋さんを追いかけてきた。関谷さんの心に残る長嶋さんの素顔を聞いた。

  ◇  ◇

 関谷さんは、長嶋さんのこんなささやきを聞いたことがある。

 「『関谷さん、長嶋茂雄をやるのもね、結構大変なのよ』。そうおっしゃったことがあって。そのぐらい意識してらしたんじゃないですかね」

 入社2年目の89年から「独占-」に起用され、スポーツの現場と接点を持つことになった関谷さん。スタジオや球場で顔を合わせることになった長嶋さんは常に周囲の視線や反応に意識を張り巡らせていたという。

 「第1次政権と第2次政権の間にも番組に結構出演していただいたのですが、CMに入ると必ず『今の面白かった?どうだった?』と聞いてくる。インタビューで、私が笑ったりすると、周りのカメラマンやスタッフも笑ってるかチェックしてニンマリする。せっかく出るならみんなを楽しませたいっていうところがありましたね」

 93年に巨人の監督に復帰してからは、数字を気にかけていたことが印象に残っているという。

 「野球中継の視聴率を気にしてらして、視聴率はどうだったと聞かれることも多かった。92年からJリーグが始まってものすごい人気になったことに危機感を持っていた。ブルペンにカメラを入れたのは長嶋さんのアイデアなのですが、どうしたら面白くなるか、よりスリリングに野球を見せられるかを常に考えていたと思いますね。それだけ自分自身にプレッシャーをかけていたんだと思うんです」

 現役時代からプレーでいかに魅せるかに腐心してきた長嶋さん。そのこだわりもインタビューで聞いた。

 「ゴロはかっこよく自分が捕る、人の分まで捕って投げるけど、フライはかっこ悪いから捕らないって。クロちゃん(黒江透修さん)お願いって言うと捕ってくれるんですよって。いかにかっこよく見せるかですよね。体重も78キロからずっと変わらないし、私服もすごくおしゃれなスーツで、いつも胸のあたりにテントウムシのブローチか何かをつけてらして。どう見えるか、どうあるべきかをすごく意識されていて」

 そんな強いプロ意識が、関谷さんに向けられたことがあった。

 名球会ゴルフの番組リポーターとしてハワイを訪れた際、ゴルフ場までのバスで長嶋さんと隣り合わせになった時のことだ。

 「誰にも聞こえないような感じで『関谷さん、がんばってますね。でもね、テレビに出る仕事なら、それ以上は太らない方がいいですよ』って」

 ミスターが耳打ちしてくれたアドバイスの真意を関谷さんは説明する。

 「当時、自分はぽっちゃりしてたし、ブラウン管は横に広がって映る。確かに、と思ったんです。長嶋さんは現役を引退しても体形が整ってる。だからありがたいなと思って。嫌われそうなことをちゃんと言ってくれるのがうれしかった。そんなことを言ってくださる人はいないので」

 訃報を受けてSNSでこのエピソードを紹介したところ「なんかそれは悲しい」「ちょっと失礼だね」といった反応があった。関谷さんは誤解がないように自身の受け止めを返信したという。

 「嫌な思い出ではないんですよ。ものすごく印象に残ってるんです。プロってどういうことって話で。アナウンス技術はもちろんなんですけど、やっぱりテレビって映るものなんだからというところですよね」

 プロとして認めてくれていたからこそのアドバイス。関谷さんは長嶋さんへの感謝を口にした。

 大型補強で4番打者を集めた90年代、巨人の4番を誰が打つのかに注目が集まった。関谷さんはインタビューで長嶋さんにファンの関心事を直撃した。

 「落合さんがいて、ヤクルトからハウエル、広沢さんが来て、松井さんがいて、4番候補がいっぱいだった時に、キャンプで巨人の4番は誰になるんでしょうの意味で『監督、巨人の4番と言えば?』と聞いたら、『それは長嶋茂雄でしょう』って真顔で言われて。さすがだなと。ちらっとね『王さんもいましたけどね』と言ってましたけど。途中から3番になりましたけど、巨人の4番として君臨してきて、自分の中で4番という気概を持ってらっしゃった」

 長嶋さんらしさが凝縮された返答を懐かしんだ関谷さんは、感慨を込めて言った。

 「ミスタージャイアンツでいるために、長嶋茂雄であるために努力をされてきたんだなと思います。あの笑顔、ああいう存在はもう出てこないですよね」

(デイリースポーツ・若林みどり)

 ◇関谷亜矢子(せきや・あやこ)1964年生まれ。東京都出身。国際基督教大学卒。88年に日本テレビにアナウンサーとして入社。「独占!!スポーツ情報」「どんまい!!スポーツ&ワイド」などのスポーツ番組、情報番組の「ジパングあさ6」などに出演。五輪はリレハンメル、長野を現地取材した。2000年に退社しフリーアナとなり、イベント、シンポジウムなどの司会などを務める。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、ワインエキスパートの資格を持つ。

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