【野球】なぜ阪神は10連勝できたのか 破竹の快進撃を裏付ける驚異的な数字 2位に8・5ゲーム差で貯金独占
「広島1-3阪神」(9日、マツダスタジアム)
阪神の快進撃が止まらない。二回に佐藤輝の22号ソロで先制し、1点リードの七回には森下が値千金の適時三塁打。大竹が六回途中1失点と粘り、その後は救援陣が無失点リレーで広島打線を封じて2年ぶりの10連勝を飾り、1956年以来69年ぶりとなる10試合連続2失点以下という快記録を打ち立てた。なぜ阪神は10連勝できたのだろうか。
破竹の連勝街道を裏付ける数字がいくつもある。まずは先発投手。10試合中9試合で先発投手に白星がついた。伊藤将とデュプランティエが完封勝利を挙げるなど、才木、村上、大竹、伊原を含めた全6投手が5回以上を投げ、全員が2失点以内に抑える投球を続けている。
10連勝中の総得点は38と驚く数字ではないが、失点はわずかに7。先発10投手が67回2/3を投げて合計6失点という数字も驚異的だが、それを上回ると表現して過言ではないのが救援陣。10連勝中にのべ25投手が登板し、22回1/3を1失点。1日の巨人戦の六回に及川が坂本に適時二塁打を浴びたのが唯一の失点で、石井が26試合連続無失点を継続するなど、チーム防御率1・91を下支えしている。
打線も10連勝中の8試合で先制点を奪い、投手陣を援護。3日の巨人戦と翌4日のDeNA戦の2試合で先制点を奪われたが、それでも3日の伊原が5回2失点、4日の村上も7回1失点と踏ん張ったことで、逆転勝利を呼び込んだ。
佐藤輝が言う。「投手陣が素晴らしいピッチングをしてくれているので、リズムよく僕らも打てている」。チームは直近5試合で2桁安打。佐藤輝自身は10連勝中、39打数13安打の打率・333、3本塁打、9打点。森下が36打数13安打の打率・361、4本塁打、8打点、大山も37打数16安打、6打点の打率・432と調子を上げてきているのも、投手陣の踏ん張りに起因する部分が大きいということなのだろう。
81試合を消化して48勝31敗2分け。今季最長10連勝で貯金を同最多の17とし、2位の広島には今季最大の8・5ゲーム差をつけ、セ・リーグの貯金を独り占めにしている。
藤川監督は盤石に映る投手陣について「いや、投手に関しては、後半戦、まだまだこれから暑くなりますから。試合数よりもタフなゲームが増えますから、選手のコンディション等々を見ながらビルドアップさせると言いますか、ブルペンを良い状態に持って行くのがテーマだと思いますね」と語り、残り62試合を見据えながら、さらなる強化、円滑な起用、体調管理と維持に傾注する腹積もりを明かした。
眼下に従えるライバル球団に下克上、ドラマ、ミラクルを許さない。酷暑、不測のアクシデント、残り試合数を考慮すれば、8・5ゲームのアドバンテージで安泰だとは言い切れないが、現時点では死角が見当たらないほどの強さを今の阪神は携えている。(デイリースポーツ・鈴木健一)




