【ファイト】来年7月引退の4代目タイガーマスク、歴代最長30年も初期の苦悩吐露「お前のタイガーをやれ」師匠・佐山サトルの電話で翻意
新日本プロレスのタイガーマスクが6日、来年7月での現役引退を電撃表明した。1995年7月15日のデビューから今年で30周年を迎えるが、「長い年月をタイガーマスクとしてやってきて、来年7月に引退することにしました。自分の中で一つ区切りをつける」と報告した。初代タイガーマスクの佐山サトル(67)直系の弟子として4代目となり、歴代最長期間をタイガーマスクとして活動。今月10日には師匠・佐山が総監を務めるストロングスタイルプロレスの新宿FACE大会でメインのタッグマッチに出場するが、1日に行われた記者会見ではキャリア初期の人知れぬ苦悩も明かした。
「自分が先生から引き継いできた佐山イズムのプロレスをしっかりお見せして、やっぱり佐山イズムはここにあり、というものを見せたい。この先、僕自身も(キャリアが)何年あるかわからないが、先生の力になりたいと常に思っているので、この先も(ストロングスタイルに)出場できればいい」。久々の“里帰り”に際し、そう決意を込めた。
佐山が創設したスーパータイガージム出身の直系の弟子で、4代目のタイガーマスクとして1995年7月15日にデビューした。みちのくプロレスを経て、2002年に新日本に初参戦し、同年に入団。173センチと小柄ながら、蹴り技などの打撃やサブミッションを多用した格闘スタイルをベースとしつつ、ルチャなど多様なスタイルを駆使し、IWGPジュニアヘビー級王者に輝くなど長く活躍してきた。「本当に30年、こんな小さい体でよくプロレスができたなと思う。ただ、デビューしたての頃はいろんな葛藤もあった。何度も(佐山)先生に弱音を吐いたこともあるし、(タイガーマスクを)辞めたいと言ったこともある」と苦悩を吐露した。
80年代に一世を風靡した初代タイガーマスクの直系の弟子として華々しく引き継いだものの、その看板はあまりにも重かった。「デビュー時はファンの方にも期待感をいっぱい持っていただいたが、3、4年経った頃にはマンネリが出てしまったり…」。当時は膝を手術した影響もあり思うような動きができず、ファンから「タイガーマスクじゃないじゃないか」と言われて傷つくこともあった。
「自分の中では100%を出していたつもりだが、タイガーマスクになっている自分への自信が薄れてきた」
虎のマスクを脱ぐことを考えるほど悩んだが、そんなときは佐山に電話で相談することも多かったという。そして、師匠から喝を入れられた。「自分のタイガーマスクというものをやればいい。お前は俺じゃないんだ。お前のタイガーマスクなんだから。(お前に)俺のタイガーマスクをやれなんて教えたことは一度もないぞ」。当時、その一言が大きく響いたといい、タイガーマスクは「先生に一言ポンッと言われたことで吹っ切れた。自分の中の節目でいつも先生に電話をして、苦しいことを乗り越えて今に至っている」と明かした。
タイガーマスクとして歴代最長の期間を過ごしてきたが、31年となる来年7月でピリオドを打つことを発表した。引退を決めた理由として「佐山先生とつくりあげてきたタイガーマスク(の動き)が、長い年月を経て(最近は)自分の中で納得できなくなってきた。これではないなというのが出てきた」と、イメージとのギャップが生まれてきたことを明かした。
30周年の節目で、10日には久々に師匠の下でリングに上がる。佐山は4代目の“里帰り”に際し、「ずっとプロレス・格闘技をやってきて、いい弟子を持ったなと思う。特に(現在の)タイガーマスクは一から育ててきた選手なので、こういう育ち方をしてくれて、いい選手になってここに戻ってきてくれたんだなと、そういう思いで感激しながら試合を見つめたいと思います」と目を細めた。タイガーマスクも「最後まで僕は先生の言葉を胸に刻みながら、しっかりと佐山サトルのタイガーマスクというものを引き継いで頑張っていきたい」と決意を込めた。(デイリースポーツ・藤川資野)
◆初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレス Vol・35(10日、新宿FACE)▽メインイベント タッグマッチ60分1本勝負
タイガーマスク&スーパータイガーVSリムファイン ブラック・タイガー&ブラック・タイガー





